チェ 28歳の革命

好意的に解釈すれば、偉人と言われるゲバラも主体的に常に事態と向き合っていたわけでも、進行中の革命について多くを把握していたわけでもなかった。という映画。
最初のキューバに渡る決断以降、ゲバラカストロの指揮に従って各地を転々とし、基本的に目の前で起きて居る事態に対して、効果があるのかないのか分からない対応策をその場その場で決めて、取り敢えず実行して行くことしかできなかった。

そこにはドラマティックな戦場の愛も友情もなく、宿命の敵もない。
ただ名前のない兵士たちの中に混じった指揮官としてのゲバラがいるのみだった。

作中でゲバラが独白するように、戦いの行く末を決めるのは名前の知られない兵士たちの能力であり士気の問題であって、指揮官が天才だろうが凡人だろうが関係はない。ゆえに、ゲバラ前線指揮官として有能なのか無能なのか、この映画では二分法的には描写されない。ゲバラは単に次々起こる事態に対応しているだけであり、往々にして、その対応の結果がよかったのか悪かったのかは描かれない。

という映画で、大河ドラマにありがち、ゲバラすごい!全知全能!なんでもできちゃう!的な、分かりやすい偉人伝ではなく、最後まで見ても、ゲバラというのはカストロのもとで重用された中間管理職であることはわかったが、全体を通してカタルシスを感じる場面のない、延々とジャングルのなかでゲリラ戦争を繰り広げるという映画であった。

たぶん、続きは映画館に見に行かないと思う。見ていて疲れた。