こんな話だと思っていた「ドラゴンクエスト ユアストーリー」
山崎貴映画だというから、てっきりこんな話だと思っていたら全然そんなことなかった。
1992年の日本。
中学1年生の倉場瑠夏は誕生日祝いに父親からSFCとゲームソフト「ドラゴンクエスト5」を受け取った。
あまり興味なさそうにソフトを差し込み、電源を入れる瑠夏。
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瑠夏の父は工事現場で働くブルーカラーの男だった。
粗野で豪快な父のことを、現代っ子の瑠夏はそんなに好きではなかった。
そして瑠夏はゲームがあまり好きではなかった。どちらかといえば、幼馴染の白子のことが気になって生活を送っていた。
だがそれから数ヶ月後、ゲームを進める瑠夏はその途中、父が現場の事故で死んだことを伝えられる。
続けざまに、母は間男の下間と出て行った。
たった一人残った瑠夏はそのまま残っていれば良かったのに、家を飛び出してしまう。
数年後、瑠夏は日雇いの労働者として働いていた。
バブル崩壊後の社会で若い労働者の働き口はなく、過酷な条件での労働を強いられていた。
ある日のこと、職場の同僚、辺理が脱走を持ちかける。
仕事現場に限界を感じていた瑠夏はその誘いにのり、職場をバックレる。
しかし、彼らに先の展望があったわけではなかった。
浮浪者として繁華街で倒れこむ二人。悪臭に誰も近寄らない。
そこに二人に手を差し伸べる女の子がいた。
彼女は更母花咲といい、近所で工務店を経営する経営者の娘だった。
その父親、流土は二人の浮浪者を受け入れ自分の会社で働かせ始める。
そして数年の時が流れた。
瑠夏と辺理の二人は流土から仕事を任される会社員になっていた。
工務店のなかでは、彼ら二人のどちらかが花咲を嫁にとって、この工務店の跡取りになると噂されていた。
彼らは大きな仕事を任され、それに成功する。
繁華街で祝杯をあげて、帰路につく二人。
そこに女性の悲鳴が聞こえる。
瑠夏が悲鳴の方によっていくと、幼馴染の白子が男に殴られていた。
止める辺理を振り切って、白子を助ける瑠夏。
白子は一家が離散して、キャバ嬢になっていたが、膨大な借金をさせられて、無理やり働かされていたのだ。
瑠夏は白子を連れて帰るが、流土はいい顔はしない。
「君はこの会社を継ぐ人間で、花咲の婿にしようと思っていたんだぞ!そんなあやしい女を連れているなんて!」
その話をきいた白子は逃げ出そうとするが、流土はそれを止める。
「この人は私の妻になる人です」
こうして、白子と瑠夏は夫婦となった。
流土の会社は辺理が継いだが、瑠夏はその会社で仕事を続ける。
子供が生まれ、幸せな家庭が作られる。
2005年、瑠夏は26才になっていた。
それから、10年。2015年。
瑠夏の子供達は十才になり、36歳になった瑠夏は会社員として成功し、安定した生活を送っていたが、そこに幼い頃に彼を捨てて家を去った母が現れる。
最初母を受け入れることを嫌がった瑠夏だったが、「家族はなにより大事」という子供たちのことばに動かされ、母を受け入れる。
そして2019年。
瑠夏は中学生になった子供たちにニンテンドースイッチとドラクエ5を誕生日プレゼントに送るのだった。
あの日、瑠夏が中断してしまったゲームの先に進む子供達のプレイを後ろで見守る瑠夏と白子。
ゲームの中で繰り広げられる、三世代の物語。それはまるで、あなたの人生の物語。
みたいな話だと思っていたので、ドラゴンクエスト ユアストーリーは「おっ、すごい、ちゃんとドラクエだ!しかもあまりユアストーリーじゃない!」みたいな驚きがあり、良かったと思ったのでした。