プリキュアミラクルリープ感想

要約

プリキュアラクルリープ見てきた。正直、春映画は期待値が低いのであまりテンションは高くなかったのだが・・・この先入観は裏切られた。

春映画としては3年に一度くらいの出来栄えの良作だった。プリキュアを見てる人向け、の映画であって、普段見てないけどこの映画だけみろよ!という感じの映画ではない。とくに説明なくキャラが出てくるのでハグ〜スタ〜ヒープリ履修者向け。バトルに力点多し、ストーリーはもう少しな出来栄え。ループものという複雑な構成の話を、新人研修に振ったことでまとまったとも思う。以上要約。

 

コロナ禍による変更

冒頭、キュアアースもいる前節。
 
この辺りから、コロナで予定が狂ったところが散見される。ミラクルライトが割とキーアイテムなのに、住民や関係各位みんなが持ってる場面とかないのだ。
戦ってるのはプリキュアたちだけで、ローカル感が嫌増してしまう。熱海だけを永遠の今日に閉じ込めに来たボスと地元民三人が戦う映画である。よく言えばジョジョ四部感。セリフの流れ的には客席のみんなが応援するシーケンスあったんだろうけど、コロナの中で客席で騒がせられないので急遽取りやめた感じ。
 

ファーストインプレッション


初見、ぱっと見で、すこやか市のロケハンがちゃんとしてるのでテンション爆上げ。いや、本当に、リアルな感じの街を入れるの苦手なシリーズなんですが、スタプリ映画の沖縄みたいな感じで、ちゃんと現実の背景になっている。神奈川西部というか静岡東部の田舎感をちゃんと写真とかとって描いてる感じ。映画の最初から、これはちゃんとしてる映画だ、って感じが画面からぐわっと出たのでとても良かったです。

 

過去キュアとの邂逅


過去プリと再会、のはずが、グレースを知らないというスター。
あれ?スタプリのテレビ最終話で会ってなかったっけ、そうか、あれは29歳のひかるだから、この中学生のひかるはグレースに会ったことないのか……ん?これどういう時系列?μ’sの新PV的な「実はテレビシリーズの1点なんですよ」という話なのかな。ということで飲み込むことにする。

 
先輩主人公、星奈パイセンの人間力の高さ!ここ解釈大事!そりゃ、のどかっちも「先輩は強い」ってなるよ。

はなパイセンは……なんていうか、その根性!、根性がありますよね。いや、なんかもっとあったでしょ!はなパイセンの良いところ……なんかあったっけ??こう、みていて愉快な気持ちになること以外にも何かあったでしょう?説教とか。。。ああ、説教しないから、はなパイセンがなんか面白女子になってるのか。
 

ストーリーについて


ループものを72分しかないプリキュアオールスター映画でやる、という挑戦は難しかったと思うのですが、なんとかやりきってました。基本的にゲストキャラをあまりでしゃばらせず、花寺のどか君にフォーカスを絞って、キュアグレースの映画にする手腕。これが良かった。

スタプリの映画の時も思ったけど、沢山映画ゲストキャラやオールスターキャストがでるからって満遍なく登場させると散漫になるので、花寺のどか君がループの主観者として繰り返しミラクルんを助けようと闘い、挫折し、泣き、再び立ち上がるというプリキュア新人研修に絞ったのは正解。
 
映画ゲストキャラをちゃんと出すとスタプリ春映画みたいな「ゲストキャラの話がメインでプリキュアの映画なのにプリキュアの話は添え物」みたいになってしまうので、基本的に喋らない妖精ミラクルんを助ける対象として出したのは、スタプリ秋映画のUMAのときに作ったワザの継承が感じられて良かったです。
 
プリキュア新人研修、泣く花寺のどかっちを後押しして再起するところの星奈パイセンが一年の成長が見られて良かった。そりゃ宇宙が全部消し飛んだのに比べりゃ、時間が巻き戻る程度の熱海のローカルボス敵なんて些事ですよね。

しかし、短い時間の映画で、ループものなのと、プリキュアが一々名乗りを上げるのは相性あんまり良くなかったなあ。さすがに変身バンクは省略されてましたが……
 

ストーリー上、もう少し見たかった要素


ルールーとハリー、ハグたんのいるハグプリ勢と、ミルキーとコスモ、プルンス、フワのいるスタプリ勢。こいつら自体結構「明日になんて進みたくない、今のままでいたい」という要素が山盛りだよね。本編時系列の途中だとしたら、このあと別離がくるわけだし、パラレルであの頃に戻ってるんだとしたら、なおさらリフレインとやってること同じじゃないですか。
 
その辺拾った上で「だとしても明日に進みたいんだ」という話をしてくれたら、さらに盛り上がった気はする。この過去プリがみんな揃っている謎の時間帯自体「古き良き時」や「同窓会」なので、その辺をうまく絡められれば、単なるシリーズファン向けの映画を一皮剥けた射程距離のあるループものになったと思うのよね。

そもそも「同窓会」「学校の時計台」というモチーフとしても「ペルソナQ」「荒垣先輩のいるペルソナ3勢」みたいなもんじゃん。前に進む、もとの世界線が進んで行くのが必ずしも良いことじゃないじゃん。

という気はするのだけど、それやり始めると、72分で終わらないんだよなあ。72分で話として成り立たせるためには、のどかの話でまとめる必要があって、話の長さ的には仕方ないかなあ。90分ある普通のアニメ映画なら出来たと思うんだけど。その辺は残念。

過去シリーズについてもそうだけど、作中の重要な要素としてノスタルジーというのがあるはず。敵ボスとか両親の会話から、そのニュアンスしか薫ってこないんだけど、たぶん本来的にはそうなんだと思う。
 
両親の子供の頃の思い出や、楽しかった子供時代が終わってしまって悲しいけれども、今生きていることの良さ、という話もあった方が良かったと思う。親子で見る映画なんだし。ただ、これも入れると尺が足りないのでないんだけども……この辺もあって然るべきだと思うのよね。
 
この辺、味方説明や描写が少ないので、なんで敵が戦ってるのか、なんでパイセンたちが味方してくれるのか、わからないんですよ。昔のスパロボみたいな「なんとなく悪そうなやつがいて戦ってるから詳しいことはわからないけど闘うぜ」みたいな展開になってしまっている。
 
のどかっちが奮闘するのも「事情はなんかわからないけれども、自分の心に決めた誓いを破ってしまうのは嫌だ」っていう戦士のプライドみたいな話になっちゃうところあるわけじゃないですか。この辺も映画のストーリー的な射程の短さになってしまうと思うのよ。
 

バトルについて


あ、はい。戦闘の絵はすごい良かったです。タイムリープ以外は概ねバトルってるので、そこだけですごい見応えはありました。TVだと加減されてるのか、あまり苦戦しないのですが、今回はよくボロボロになる。
 
ただ、本編でも、こんなワザあったっけ、というのが、とくにハグプリについてはたくさん生えてたような気がします。フォンティーヌの肉弾戦からのプリキュア伝統の回転蹴りとか、黄色チームのパワーバトルとか、青チームの「わたしが青キュアルン!」と出てきたミルキーの後からぬっとでてくるコスモとか、ピンクチームのダブルパンチからのキュアスターの空中機動とか、覚醒グレースのラストバトルとか。オールスター映画だと、みんなで光線ワザ出して終わり、みたいなバトルも多かったのですが、ガッツリアクションしてくれるので、そこだけでも見に行って良かったです。
 
プリキュアのバトルって、特に映画だと割と「最初は負けちゃったけど、今回はもっと頑張るからすごい力に覚醒したので勝てた」みたいな、なんで勝てたのか理屈が書かれてないことが多いのですが、今回は前のループでは出来なかった、こういう工夫をしたから勝てた。前はこのせいでダメだったけど、今回はこうやったら勝てた、という理屈があるのが良かったです。

映画限定フォームについても、普通、天使みたいなイメージで変身して浄化して終わり、みたいな使われ方が多かったのですが、今回は動いて戦いまくります。まだ戦えるだと?心は確かに折り砕いたはず、鳴り響く不快な歌の仕業か……からのグレース攻勢で歌が始まったのはシンフォギア度が高くてヤバかった。あの歌、悠木碧が歌ってなくて良かった。
 

まとめ


総じて「プリキュア 春映画としては良くできてる(普段見てない人向けではない)」「初期のプリキュア新人研修映画のノリが好きな人向け」「バトルは技が突然生えるけど見応えがある」「ストーリー部分はプリキュアでループものをやる、最低限度は押さえてるけど、もう少し尺が欲しい」というところですね。現場からは以上です