映画「けいおん!」の感想というか今さらけいおん二期感想のように見せかけたP4A感想

ツタヤでDVDを借りてきてみたけども、劇場ではみてないです。イエイ。完結に語るのはいろんな人がいろんな立ち位置からいっているので、自分の視点で語ろうとすると長くなる。まあ適度に長いです。


俺は「けいおん!」は番外編含めてすごい好きだったけど、「けいおん!!」は微妙だと思っていたし、原作漫画は読んだことねえよ!という人なので、「けいおん!!」が好きな人、ようするに二期、二期が好きな人には申し訳のない感想になってると思います。
姫子可愛いと思いますけどね。ええ。


この映画「けいおん!」って、二期「けいおん!!」の映画なのですよね。それを見始めてから深く気が付きました。おれは「けいおん!」はすごい好きだけど、二期「けいおん!!」がそんな好きじゃないんだよ。曲は二期の方がいいと思うけど。


で、「けいおん!」と「けいおん!!」で何が違うのか、というとそりゃ「ハヤテのごとく!」と「ハヤテのごとく!!」ぐらいの違いがあるわけです。


けいおん!」って、主人公の成長と意図を描くアニメだったと思うのですわ。これは「ハヤテのごとく!」一期もそうで、登場人物にそれぞれ優先事項と意志があった。これが「ハヤテのごとく!!」二期でどうダメになったか、というと原作どおりに全員優柔不断な人間にしてしまった。そうなると、全員現状維持しかしないので、話が転がっていかないわけですわ。状況は進んで行くのに、本人たちの意志はまるで進んでいない。


けいおん!!」二期って、始まった瞬間から主人公たちがすでに「余生モード」なのね。俺も高校三年生やったことがあるから、なんとなく分かるんですけど、高校三年生になって部活やってると「余生モード」になる人いるのね。「もういいや、ここで止まろう」というやつよ。


「何も考えずに走れよ!そんな所で止まるなよ!お前らもっと先まで走れるよ!」


と、「ちはやふる」の詩暢だったら言うかと思います。(嘘です、詩暢ちゃんはそんなこといわない)


けいおん!!」ってそうなのよ。あれだけ、「けいおん!」でみんな成長したのに、そこで全員満足しちゃったあとの話を半年掛けてやったわけですよ。で、映画はその続きなわけです。


だからさー、日常描写はいいのですよ。でも、あとが全面的に「余生モード」なの。「わたしたちすごく幸せな関係ができたよね。それをそのまま保って、ずっと一緒にいたい」っていうだけしかないのよ、二期のこの子たち。


やっぱり映画までやるんだから、もうちょっと先を見て欲しかった。このあとどうなるのか、という補助線をひいてほしかったのです。


ということで、ダメだったという話をしてもつまらないので、全然関係ない「ペルソナ4アニメーション」劇場版について。良かった、という話をします。


おれは「P4」のテレビ版最終回ってすごくがっかりしたのさ。


それはなんでかっていうと、ゲーム版の「P4」って「テレビの中」と「テレビの外」っていう関係があって、前者は非日常/フィクションで後者は日常/ノンフィクションなわけですよ。でも、その両者っていうのは実はそんなにキッパリ別れているものではなくて、ゲーム内ではどんどんグズグズに入れ替わっていって、最終的に日常が全部非日常に飲まれ混む、というとkろでクライマックスを迎えるわけです。


これをちゃんとやるには、後半「霧に飲まれる街」「霧の中で続く日常」という話をやらなきゃいけなかったと思うのですよ、あと「テレビの中で特別捜査本部以外のコミュに助けられる」という話がはいってないと、本来いけないのです。


ところが、テレビ版のP4Aって、主人公たちが非日常のなかに入っていって、非日常的な敵を非日常的な能力でやっつけて終わる、というどこまでフィクションづくしなんだよ!という話になってしまったわけですよ。それって原作でせっかく日常と非日常の融合をやってきたのが台無しじゃないですか。


だって、これだと単に「フィクションの人物が「フィクションはよくない、現実を直視しろ」ってテレビの外側に向かって語る」っていう、すごく滑稽な表現だから。ゲーム版でそういった対立軸がかろうじて成立していたのは、日常コミュの人たちが主人公を後押しする展開があったからで、それなかったら、単にフィクション世界のつくりごとですよ。


ところがどっこい、映画版というか劇場でやってた「P4A」の最終回はすごくよかった。
何が良かったかというと、主人公が初めて思い悩むわけです。
「俺はこの非日常のなかにいることが一番楽しいんじゃないか」この三月二十日が永遠に終わらなければいいのに!


でも、そこでちゃんと主人公は立ち直って立ち上がるわけです。お別れするために。
これまで過ごした日々は楽しかったし、そこで培った絆は自分の中に残るけれども、だけど別れるわけです。別れた先で、何がどうなるのか分からない。もうこんな気持ちの通じる仲間とは会えないかもしれないけれども、それでも現実に回帰していくわけです。


これはね、逆にゲームだとそこまでちゃんとやってないので、予想していたのとは違うんだけども、ちゃんと「TVシリーズ」のときに今ひとつがっかりした最後の展開に対して、劇場で予想を超えていた回答を付けてくれたと思います。


いやあ、P4Aの最終回は良かったなあ! ということで、一つ。


振り返るに、映画「けいおん!」でもアニメシリーズの最後の方に補足的な話をつけるのであれば、この子たちの将来についての補助線を引いて欲しかった。「この子たちはずっとこのまんまなんですよ」なんて、んなわけねえだろ。と。せっかく倫敦っていう、非日常極まりない場所まで連れて行ったわけなので、そこでもうちょっと「このアニメが終わったあと、どうなるのか」という話に続けてくれてもよかったんじゃないかなあ……と。


たとえばさ。「かみちゅ!」の最終回で、主人公の女の子たちがお泊まり会して、これからどうするのか、街に残るのか都会にでていこうか、みたいな話をちらっとするわけです。ぽろっと一台詞でもいいから、そういう実体感をもった将来像の話が入っていればなあ……


そうわけでアニメ「けいおん!!」では和ちゃんとの別れの場面とか、今回の映画でも「大学入っても演奏できるかなー」とかは良かったです。ええ。