シノプシス
艦隊戦シナリオ案『宇宙の向こう、約束の場所(仮題)』
シナリオテーマ
- ジントとラフィールの出会い編
- 宇宙を目指す女の子がロケットを打ち上げる話をやりたい
- あと、ガンダムを書きたい
原案
星界の紋章
星界の紋章は面白いが、長い。
とくに真ん中のクロワールの話は要らない気がする。
冒頭のジントとラフィールが会うところから始めると長いし、
展開がだれるから、いきなりゴースロスが沈んで脱出するところから始めて、
地上に降りることにしよう。
とすると、マルカ率いる反帝国組織の出番が多くなるわけだけども、
あの一同はいまいち話を引っ張っていくにはインパクトに欠ける。
まあ、原作はラフィールのインパクトでひっぱっていけるんだけども、
なにしろこっちは後追いなんで。
一方、艦隊戦をしないといけないので、アーヴ軍と敵にもそれなりのドラマを
用意してやらないといけない。
なにしろ、ラフィールもジントも地上を逃げ回ってるだけなんだから。
原作のカイトは窓際族だったが、宇宙艦隊と関わりのある人間を、
敵方として地上に降ろして活動させないといけない。
そこで、反乱軍の指導者役はリリ=ボルジャーノ。
グエンがギンガナムについた後はミリシャのリーダーだった上、
小説版の短編でリリが星間交易をやる話(エア・ボルジャーノ)があったので。
これで、エントリュアの役をやるのはグエンとミハエルとかに仮決め。
さて、グエンが味方をするからには、アーヴの敵は貴族国家でしょう。
あの人は民主政治とは縁の遠い人だから。敵は銀河帝国に決定。
宇宙のアーヴ艦隊を率いるのは、原作ではトライフですが、
さすがに飽きてきているので、別人にしよう。
地上のメンバーからして、ギム=ギンガナムで。
ギンガナムは髪は蒼いし、数千年続く名家だし、日本刀だし、
アーヴといっても違和感があまりないに違いない。
いや、あんなガタイのいいアーヴいないけどさ。
ギンガナムと戦争するのが帝国貴族じゃ絵にならないし、
グエンと同レベルで交渉してほしいので、帝国艦隊のリーダーは若手で。
ただし、時代設定が数年前の過去なんでみんな階級が低く、
階級の高そうなギンガナムと渡り合うにはそれなりの理由付けがいるな。
まあ宇宙図でも見て考えるとして・・・・・・
あとは、最近はまった「ふたつのスピカ」分を投入したいな。
たしか、原作では最後に固体燃料のロケットで、ラフィールとジントは打ち上げられるんじゃなかったっけ?
というようなことを勘案して。
シナリオの粗筋
Prologue
西暦2300年代、
マイケル・ブールが初めて実用化に成功したしたワームホール理論により、
人類は豊饒にして冷徹なる恒星間宇宙への扉を開いた。
だが、その前途には宇宙の黎明期から存在する「種」が存在した。
西暦2417年
その移民船団もほかの多数の船団と同様、人間とアンドロイドたち、
そして遺伝子操作された人類の友で構成されていた。
だが、その進路に出現したのは、
「予測される質量、極めて大! 通常空間に実数化します!」
「クラーリンかっ!」
虚空から現れる、人類の敵。
人類を遙かに超える技術力を持つそれを、
誰が最初に「クラーリン」と呼んだかは確かではない。
だが彼我の戦力差は絶望的なまでに圧倒的であり、
クラーリンとの遭遇は即ち死を意味した。
それでも、人間たちは宇宙へ向かっていった。
「良かった、COS-MOS」
「あなたが無事で、本当によかった」
「ですが、シオン。
この船団にはすでにあなた以外の生存者はいません」
「あなたたちの世界を作って、そして満たして。
宇宙に、人の声を」
COS-MOSの腕の中で、薄茶色の髪のシオンが息絶える。
残されたCOS-MOSの青い髪と、赤い目。
暗転
発端
「大丈夫!?」
ラフィールが目を覚ました時、焦げ茶色の髪をした地上人が、
彼女に手をさしのべていた。
宇宙歴792年5月。
ハイド伯爵子ジント13歳。
巡察艦ゴースロスで帝都ラクファカールへ向かう途中、
進軍してきた銀河帝国軍艦隊と遭遇。
ゴースロスから一人の練習生とともに艦から退避したものの、
小さな連絡艇では星系間移動をすることもできず、
そのまま手近な惑星に不時着することになった。
だが、帝国軍のワルキューレはこの小さな連絡艇すら見逃さず、
執拗な追跡を受けた上、数発の命中弾をうけ、連絡艇は墜落寸前の
状態で地上へ降下したのだった。
展開1
しかし、アーヴ領内へ進軍してきた帝国軍も混乱の最中にあった。
彼らの背後で、今まで友好的中立の立場をとっていたジオン公国が、
銀河帝国に対して宣戦布告したのである。
「我がジオンには、銀河帝国が対アーヴ戦の拠点とすべく建造した
宇宙要塞ソロモン、アクシズ、ア・バオア・クーがあります。
我々は十年は戦えますよ」
「そなたは、ルドルフ=ゴールデンバウムの尻尾だな」
「父上。 尻尾の戦いぶりをご覧ください」
「ルドルフは確かに一代で銀河帝国を築いたが、
果たしてギレンはルドルフになれるものかな?」
このころ、アーヴ領に進軍していたのはマケドニア公を総指揮官とする
3個艦隊6000隻だったが、ジオン公国反乱の情報を入手した
情報担当参謀オーベルシュタイン大佐はマケドニア公、リッテンハイム候ら
艦隊首脳部へこの情報を渡さず、艦隊に点在する佐官たちを招集して、
彼らの合議によって艦隊運用をすることを提案する。
「卿らは銀河帝国でも一流の軍人だ。
それが、なぜたかが貴族の自己満足のために死なねばならん?」
「それとも、自分の命をあの老人たちに委ねて我慢できるほど、
諸君らは鈍感なのか?」
作為的に情報操作をすることでマケドニア公を操り、
艦隊の実質的な指揮権を手に入れた『マフィア』たちのリーダーに
任じられたのはレオポルド=シューマッハ大佐、
情報担当はオーベルシュタイン大佐、参謀本部の取りまとめはミュラー中佐、
大艦隊の統制と補給はメックリンガー大佐が担当し、
実戦部隊の運用はマケドニア公女ミネルバ中佐の担当となった。
彼らにとって最初の課題は、補給物資の確保だった。
補給経路だった領域がジオン公国になってしまったため、
本来得られるはずだった補給物資が届かなくなってしまったのだ。
「地上に降りて略奪をするか、彼らと交渉するか」
「なにもわざわざが門閥貴族の悪いところをまねすることはあるまい。
彼らとは交渉すべきだ」
シューマッハは食料と水、その他の物資が得るべく、
目の前に浮かぶ、アーヴ領の惑星と交渉をすることを提案する。
展開2
地上に降りたジントは、一緒に降りてきたアーヴの少女と名乗りあう。
「君の事は、なんて呼べばいいの?」
「……そなた、まさか」
「え? なに、僕のアーヴ語はおかしい?」
「いや、そう言うわけではなくて……。私のことは、ラフィールと呼ぶがよい」
不時着した少年少女は、惑星で反アーヴ組織のアジトに匿われていた。
ミリシャと名乗るその組織の代表は20代の黒髪の女性であり、
二人にリリ=ボルジャーノと名乗った。
「政治も経済も殿方に押さえられていては、
女の私にはこのくらいしかすることはありませんでしょう?」
「反乱軍の頭目が、女の仕事だというのか?」
「いえいえ、とんでもない。私の担当は、科学実験ですわ」
ミリシャは大昔に彼らがやってきたときに利用した星間連絡船を発掘し、
そこから科学技術を再発見しようとしていた。
「アーヴの領内では、領民が宇宙船を飛ばすことは許されていない。
これは立派な反逆行為だぞ、リリ嬢」
「殿方はすぐにそういうことを仰いますね。
確かに、ウィルゲムを飛ばそうと思えば飛ばせますわ。
でも、そうしたら二隻目は作れないでしょう?」
「私は女だ。
ちょっと待て、もう一隻、恒星間宇宙船を造るというのか?
この石炭と馬車の世界で?」
「もうプロペラ飛行機と内燃機関自動車の世界ですわ。
ウィルゲムに残されていた技術書が正しければ、
ざっと50年後には宇宙船を飛ばせるはずです」
「まずは『月』まで。その後は各惑星を伝って深宇宙へ。
私たちの先祖が一度はやったことですもの。
私の子供か孫か、ひ孫かそのまた子供が……
きっと、殿下と並んで星の海を渡りますわ」
展開3
惑星の代表として帝国艦隊と交渉の場に立ったのは、
ノックスの領主グエン=ラインフォード三世だった。
彼は銀河帝国に対して、アーヴから認められていた以上の地位を求めた。
すなわち、帝国貴族の一員として惑星全土の支配権を認めるように、
と持ちかけてきたのである。
飢えはじめた帝国軍を率いる『マフィア』たちはこの申し出を受けるよりなく、
引き換えに惑星上へ降下して補給を開始することができた。
「ここは、そういう世界なのですよ、大佐。
あなたと私は肩書きは同じだが、あなたの指揮下には星々を渡る艦隊があり、
私の元には軍馬にのった騎兵隊しかない」
「アーヴに比べて、あなた方が特に歓迎されているわけではないのです。
少なくとも、アーヴは我々には干渉しませんでした」
「馬鹿な! やつらは愚かしくも皇帝を僭称する人造人間どもだ!」
「だが、少なくとも彼らは恐ろしく執念深い。
大佐はアーヴを追い散らしたつもりかもしれないが、
絶対に彼らは帰ってくる」
「……そのときまで、この宙域にとどまれというのか?」
展開4
ラクファカールでは、皇帝ラマージュの御前に軍令部長の
ファラムンシュ星界軍元帥が謁見を求めていた。
銀河帝国軍の侵入地域の付近で演習を行っていた、
演習艦隊司令長官ギム=ギンガナム帝国元帥が、
周囲の反対を押し切って演習中の3個艦隊を率いて帝国軍迎撃に
出撃してしまったのだ。
ギンガナム家は貴族の家柄ではなかったが、銀河放浪時代に遡る
軍人の家柄であり、ギムの父親もラアルゴン戦役で大きな功績を
あげた軍人であった。
だが、ギム=ギンガナムが着任して以来大きな戦闘はなく、
彼と旗下の艦隊はただ無為に演習を繰り返していた。
ギンガナムは功を焦っていた。
スファグノーフ沖会戦
ギンガナムの率いる星界軍3個艦隊と、銀河帝国軍が激突。
しかし、演習用の編成だったギンガナムの艦隊は彼の思うがままには動かず、
銀河帝国軍が疲弊していたにもかかわらず戦闘は大混乱に陥る。
「なぜ我が命令に逆らうっ!
貴様ら、そんなにアブリアルが好きかぁっ!」
しかし、銀河帝国軍の司令部側には徹底抗戦の意思はなく、
すでに十分な補給を得ていたこともあって、彼らは
交戦しつつ、ゆっくりと戦線から離脱する方針へ転換。
中間司令官たちの働きによって、徐々に秩序を取り戻した
銀河帝国軍は撤退に成功し、アーヴは小さな辺境惑星を取り戻す
ことに成功した。
戦のあと
銀河帝国側の『マフィア』たちは、マケドニア公を始めとする
本来の艦隊首脳部へ報告をあげ、アーヴ領辺境を経由して、
イゼルローンへ撤退する作戦案を提案した。
レオポルド=シューマッハは情報を上層部にあげなかった責任をとり、
活躍が認められた『マフィア』たちの中でただ一人処分を受けた。
彼は帝国軍の本流からはずされ、門閥貴族の雇われ軍人となる。
惑星へ降り立っていたラフィールとジントは、リリらの打ち上げたロケットで
軌道をさまよっているところをアーヴ艦隊に回収された。
ジントは初めてこのときラフィールが皇族であることを知る。
ギンガナムは勝手に艦隊を動かした上に敗戦した責任を問われ、
軍令長官を罷免される。
彼がひとつのライブラリの遺跡をもって、皇帝ラマージュに反逆するのは、
これから半年後のことである。
反乱軍の頭目、リリ=ボルジャーノは婚約者であるグエンの元を訪れる。
「みごとに、帝国貴族になりそこないましたね。グエンさま」
と笑うリリに、グエンは「必ず、私はこの星の支配者となってみせる」
というが、リリはそんなグエンを笑うだけだった。
「グエンさま。いま、星が流れましたわ」
「リリ嬢、わたしは本気で話をしているのです。
まずは帝国貴族となって星々の間で交易を行い、やがては・・・・・」
「殿方は、空をみているようでも、星は見えないのですね。
ほら、グエンさま。ごらんになって、一番星!」