パプリカ

パプリカ [DVD]

パプリカ [DVD]

今敏監督作品のアニメ映画。非常に良くできた映画。90分。

この監督のアニメは「東京ゴッドファザーズ」を最初にみて、すごく面白いと思って、その後「妄想代理人」見たらそうでもなくて、「千年女優」はそこそこ好きだ。「パーフェクトブルー」は未見。

本作は…… 目立つ破綻なく、良くできた映画として成立していると思う。
ただ、なんというか、良くできた映画なのだが、(「妄想代理人」や「千年女優」と比べて)伏線回収が破綻なく、まとまり過ぎているような気がする。「東京ゴッドファザーズ」も張り巡らされた伏線が破綻なくまとまった映画なのだけれど、あれはすごく面白いと思ったのは、(同じ監督の映画を)初めて見たからかな。
これだけ訳の分からない絵面のくせに、このストーリーのまとまりの良さは本当に職人芸的だと思うけど、ストーリー自体に破綻がたくさんあったとしても、俺は「時かけ」の勢いの方が好きだなあ。
夢と現実がごっちゃになっていく過程がキモなんだと思うんだけど、さすがに「千年女優」と「妄想代理人」を見たあとだと、「ああ、いつもの奴か」と思ってしまう。もう一つくらい新機軸が欲しかった。

なぜか途中でストーリーが発散してしまった「妄想代理人」を、「良くできた一本の映画」として作り直したような感じを受けた。これは、「妄想」と「夢」というテーマが似通ってるのと、出演してる声優がだいたい同じで、監督、キャラクターデザイン、音楽に制作スタジオまで同じだから、だろうな。この監督の作品では、キャラクタはいつも同じ顔してるので、音楽かなあ。
アニメ映画に俳優盛りだくさんのきょうび、映画の主演に林原めぐみを(比較的老け役で)持ってくる所が良いと思う。俳優といえば、江守徹はでてるけど。江守徹は「東京ゴッドファザーズ」にも出てたし、まあ別格ということで。

印象的な場面は多いが、いくつか挙げるなら、まず夢のパレードの場面が印象的。なんか巨大な物体が重量感もってうねうねと動く様と、ひたすらに紙吹雪が舞う様が、「イノセンス」の樺太の祭の場面みたいだなあ。と思った。冒頭のシーンがその後変奏を繰り返されていくのもいい。
あと、最後の映画館のシーンで、「パーフェクトブルー」「千年女優」「東京ゴッドファザーズ」と三つ看板が並んでいたのが密かなファンサービスで良かった。