織田信長 破壊と創造

京都からの帰りの新幹線で読んだ。尾張一国を治めるようになってから、本能寺で死ぬまでの信長の半生について。アマゾンによると「物理的・制度的・意識的な壁を破壊し、新しい国を創造した信長。その思想と革新的所業をビジネス的視点から描き出した話題の小説を文庫化。死を賭して日本の改革に挑んだ苛烈なるリーダーの物語。」とのこと。

信長が何度も本拠地をかえ、そのたびに家臣たちもまとめて引っ越しさせたのは、一つの場所に落ち着くと改革はできないのだ。という発想に基づくもの、という解釈とか。場所場所での信長の発想の転機、例えば尾張出身の若手衆を相談相手にしていた時代から、近江や京都のインテリ層をブレーンにするようになった時代への転機など、何カ所か書いているのは面白い。

ただ、全体的に秀吉や、秀吉の後援者としての丹羽長秀に対して極端に好意的に書かれている一方で、秀吉と対立的な立場の人物として柴田勝家滝川一益については、典型的な無能な武将達のように書いているので、その辺はなんかなじめなかった。秀吉はもっと打算的な人間だろうし、柴田勝家滝川一益前田利家もそれぞれの任務に応じられる程度には先が読める人間たちだったと思うんだよなあ。