機動戦士Ζガンダム day after tomorrow 1〜2

映画公開に前後して作られた「新訳Ζ」ベースで、Ζ時代のカイが姿をくらましてから後の行動を漫画化した企画モノ漫画。
「カイを主役にしたマスターキートンみたいな漫画」という大きすぎるテーマに格闘しており、良いか悪いかは別として、その姿勢は買える。宇宙世紀ガンダムファンのためのつじつま合わせ漫画でもあり、おそらく余り気にしないで各の作り手が独自の世界を展開している「オリジン」と「CDA」と「新訳Ζ」と「テレビ版Ζ」「ΖΖ」「逆襲のシャア」を、矛盾なくつなげることに心を砕いている様子が涙なしには語れない。というか、新訳Ζは見ている前提、テレビ版の登場人物も概ね押さえており、「オリジン」を読んでなければダイクン家の正妻とか知らないし、「CDA」を読んでなければマハラジャ・カーンの絵面に違和感を覚えそうだが、そのあたりは読んでいて当然だろうと言わんがばかりの二次創作情緒にあふれる作風は素敵だと思う。同じ「各作品の間の矛盾を居埋める」系の漫画でも、例えば長谷川裕一作品はこういう過度な前提知識を要求しないので、ファンから作家になったときのあり方って難しいなあと思った。

ことぶきつかさといえば、私は世代的にはすごく特徴的な絵を描いてたセイバーマリオネットの人という印象があるし、「いけいけぼくらの〜」はかなり自分絵だったけど、今回の絵柄は新訳Ζに似てて余り違和感ないですね。なんか毎回登場人物のエロ絵がもれなくついてるあたりに、片鱗がありますけど。

文句なしにゲーツ・キャパが格好いい。あと、ベルトーチカ・イルマが、なんかトチ狂ってたΖ時代の女性陣じゃなくて、今風(ターンエー以降)の富野女性キャラに見える。わりと打算的で、言動や行動の端々が可愛らしい。純日本家屋の小林家の仏壇にカツの遺影があるとか、そういう演出もいいと思った。