戦闘妖精雪風・改

戦闘妖精・雪風(改) (ハヤカワ文庫JA)

戦闘妖精・雪風(改) (ハヤカワ文庫JA)

イエイ。初めて読んだぜ。
日本人作家の書くSF小説って、新井素子火浦功以外ほぼ読んでないのです。
神林長平も『完璧な涙』『ラーゼフォン』ってとこしか読んでないのさ。


つーのも、思うに最初に読んだ『完璧な涙』があんまり(以下略)だったからだろーな。
本書もつらい部分はつらい。が、面白い。

まず先につらい部分から。

バクスターやグレッグ=イーガンのばかでかい仕掛け一発で成り立っているSFが大好きな私にとって、ナイーブすぎてSFとして読めない。
ちゃんと人間の姿形をしているうちは人間でしょうや。
金属の塊の中に意識だけ突っ込んで半永久的に壊れないようにしても、三ミクロンくらいの体長に圧縮されても人間なんだから。


また文章もつらい。
飛行機が飛びかうことにこれだけこまごまと書かれると辛いです、いまだと事前にエースコンバットで戦闘機による空中戦を遊んでるから、なんとなく光景が目に浮かぶのですが、ソルバルウゼビウスを飛んでた時代にこれを書かれてたら読めなかったろーな、と思います。メビウス1、エンゲージ!。


やー、私、割と飛行機ものSFは好きだと思ってたんですが、自信を喪失しました。
最初に「ロケットガール」とか「そらからくるもの」、後に「エースコンバット」「ストラトス4」なSFは好きなんです。
高速で飛来する小惑星の進路を割り出して目視で修正かけて成層圏迎撃するよーな。
戦闘機自体が好きなわけではないことが、これでよくわかりました。

でも、最後まで面白かった

えー、全面的に辛いようなことを書いていますが、さにあらず。
内容は非常に面白かったです。
SAFとか、シルフィードといった言葉が飛び交う冒頭から、南極大陸から繋がった異世界基地の空軍の設定までで、一気に物語に没入しましたよ。


描写が込み入っている上に専門用語が混じって読みにくいとは書きましたが、戦闘機が飛ぶ「ドッグファイトじゃない部分」をちゃんと書いているし、慣れるとテンポよく読めます。


ジャムと呼ばれる異星人の姿が最後まで見えない(んだと思った。ちっちゃいのは違うだろう)のが、いいな。
登場人物も少なく、脇役は出る端から死んでいくから、読むのが非常に楽でした。


前に読んだ神林長平は『完璧な涙』も『ラーゼフォン』も、冒頭はいいんだけど、どんどんグタグダになっていって、最後かろうじて終わるといった感じでしたが、『雪風』は短編集っぽい構成だったためか、ちゃんと最初から最後まで面白かったです。
最後もすごくよいオチだったし。