雲のむこう、約束の場所

きっと高校生のときにみたら、感動して涙をぼろぼろと流したんだろうな。


でも、すでに二十代も半ばになってしまった自分にとっては、さほど面白がれる映画ではなかったです。
映画のなかで初恋の女の子に会いたい大学生や社会人は、岩井俊二のLOVE LETTERでも見ることをお勧めします。


ほしのこえ」で得た映像作家として名声をもとに作られた映画だと思ったんですが、アニメ映画としては凡庸だと思いました。


見所がないのです。


たしかに透明感があってキレイな情景が頻出するんですが、この前に見た「スチームボーイ」の蒸気機関が持っていたような説得力がない。


飛行機をとばす映画なのですが、映画として、飛行機を飛ばすことにはさほど労力を傾けてませんでしたし、舞台となった青森や津軽海峡、東京の景色にもあまり愛着が感じられませんでした。


実際の青森というよりも、恩田陸の小説にでてくる東北の田舎町のように、青春小説の舞台としての田舎、のように見えました。
私が青森には高校の修学旅行で行ったきりだからかもしれませんが。


シナリオの面では、まったくもってラーゼフォンか、女神異聞録ペルソナでした。
とくに付け足すものもなく、削ったものもなく。


音楽は割とよいかもしれないですが、繰り返しの魔術なだけなきもします。