トリポッド

トリポッド 3 潜入 (ハヤカワSF)

トリポッド 3 潜入 (ハヤカワSF)

トリポッド 4凱歌 (ハヤカワ文庫 SF)

トリポッド 4凱歌 (ハヤカワ文庫 SF)

地球を支配している、3本足のトリポッドと呼ばれる巨大機械を操る異星人たちと戦う少年たち。
1を読んだ後、2を飛ばして、3と4を読んだ。
が、まあ、だいたい話がわかるのは元が児童文学だからか。


何不自由なく人生を送れたとしても、自分の意志を失うのならそれは死んだのと同じだ。


主人公たちの強烈なメッセージ性にしびれそうになり。
でも少年小説ってこれくらい単純明快な方がいいよな。


3の途中で、異星人たちが本気で人類を隷属させたところで終わりじゃなくって、滅亡させようとしていることがわかってからは、普通の人類対異星人ものになってしまった気がして少し残念。
星界」シリーズの「アーヴによる人類帝国」は支配下の惑星が宇宙へでない限り完全な自由を保障する心優しい星間帝国だが、この小説を読んでいると何か悪逆非道な帝国のような気がしてくる。
もっとも、最後異星人によるたがが外れた瞬間に再び世界戦争へ向かう人類という構図はいいなあ。


主人公が、何度となく好意的な相手を裏切り、社会的にも物理的にも蹴飛ばしたり、殴り倒してしまうのがいいな。
裏切ってしまった老人の絶望に満ちた表情が忘れなくなる。
それがリアリティだと思う。


3で異星人の都市に奴隷として進入した主人公は、「変わり者の」異星人の主人に買われてペットとして愛玩されるわけで、このあたりの展開は十年くらい前に読んだ神坂一の日帰りクエストを連想したりしたわけですが、その後あっさりと主人を殴り殺すあたりに西洋人の精神的・肉体的な強さを感じました(嘘)。


まあ、それはともかく。
異星人による人類の隷従というテーマだと、バクスターの小説とも趣が結構似ているなあ。
どっちにしても、人類は大して迫害されることはないわけだが、それでも自由を得るために戦うんだよなあ。
この辺は、イギリス作家の小説の共通項なのかもしれない。


さて、買い貯めた小説の山ももうすぐ終わり。
次は「エンデュミオン」。