サマー/タイム/トラベラー 1

サマー/タイム/トラベラー (1) (ハヤカワ文庫JA)

サマー/タイム/トラベラー (1) (ハヤカワ文庫JA)


送り雛は球形の夏を駆け抜けていった。


ごく普通の2005年の地方都市で、地理研部長である主人公をはじめとする多少普通でない高校生たちが喫茶店夏への扉>でだべっておくるひと夏と、時を駆け抜けていく少女のお話。なのかどうかは、まだ続刊があるんでわからん。


読んでいる最中から、なんか恩田陸の「球形の季節」を読んでいるようだった。


「地方都市で」「進学校の地理研に所属する主人公と」「高校生たちが」「知り合いの営業している喫茶店で」「自分たちの研究について」「だべる」からか?
単純に地理研と地歴研が似ているからか?
(「送り雛」では歴史研)


新城カズマの小説としては、なんかケレンが足りない気がする。
物語の舞台を広大な海洋学園から地方都市へ引っ越すにあたって、作者は地方都市の設定を塗り固めていくことで(こういうのは恩田陸は苦手)独自性を出そうとしているが、今度はなんか「送り雛は瑠璃色の」みたいになってるような気もしないではない。


文体は間違いなく新城カズマなんだけど。


「星のバベル」が冒険する元学生の話だとしたら、これは学生の冒険についての話なんだろうか。
ともあれ、冒険と学生からは逃れられないのか。


TTもの一覧のなかに、「腐り姫」とか出てこないのは、そんなに仲悪いのか。とか。