サマー/タイム/トラベラー (2)

サマー/タイム/トラベラー (2) (ハヤカワ文庫JA)

サマー/タイム/トラベラー (2) (ハヤカワ文庫JA)


作者が面白いと思って書いていることと、実際に面白いかどうかは別問題なんだよなあ。
きっと。


結局、新城カズマは同じ所に戻ってきてしまうのか?
それとも、たまたまバベルと「これ」のネタが似通ってしまったのか。


作者本人が楽しんで後半展開させてるなあ、という感じはしたのですが、なんかそれぞれが趣味の世界に走っているだけで、話と関係がないんだもん。
架空通貨の話もアエリズムも悠有の兄の病気も、ソーニャチップと架空民族と緑の脳内の獣ほどに話に関わりを持ってこないでそれぞれ存在しているんだもん。


だから、新城カズマならではの地方都市を舞台にしたSF、という展開にまで持って行けてないで、「SF色が強めな」恩田陸の小説という感じになってしまっている。
確かに恩田陸には当たりはずれがあるんで、これは恩田陸の「あたり」の方の小説であることには違いんだけども、新城カズマは寡作な作家という印象があるうえ、本格SF小説としてはまだ二作目三作目なので、正直「もったいない」。


おそらく、恩田陸からの連想だと思うのですが、後半の駅のエピソードが出てくるまで、ずっと舞台が東北地方だと思ってました。
そうか、中央線沿い*1の町なんだ。


それだとやっぱり、”東京へ出る”についての感慨がかなり違うんだろうなあ。
その辺、神奈川に住んで毎日東京へ通ってる僕にとっては、感情移入できない部分が大きいのかなあ。


あと、カバー絵を鶴田謙二に依頼してしまった時点で負けている気がしました。
どーしても、梶尾真治の小説に見えてしまう。

*1:だから、悠有は猫を探しにでたまま、二度とかえって来ないわけか?