質問力

質問力 ちくま文庫(さ-28-1)

質問力 ちくま文庫(さ-28-1)


著者がテレビにでてるのを見ると、私は非常に胡散臭く感じるわけだが、
この本は意外と面白かった。
この本では、お互いに共通的な興味を探し、それを起点として意志の疎通を
していくという、具体的な手順を技術として提示している。


個別の本の内容よりも、人間のコミュニケーションに関する能力を
一つ一つ「コメント力」とか「質問力」と名付けていくことで、
それが生まれもっての才能ではなくて、身につけることができる技術なのだ、
と説明するところが、著者の独自性のような気がする。


私だけかもしれないが、小さい頃から接してきたあらゆるフィクションでは、
話し方に代表されるコミュニケーション能力は個性の一環として扱われる
ことが多かったような気がする。


たとえば名君は儀式的な言葉遣いではなく、べらんめえ口調で話し、
大正時代の令嬢は身近な人間に対してはお侠な口調で話す、というような。
そういった「自分の言葉」で喋ることが、「公に通じる言葉」で話すよりも、
より上位のコミュニケーションである、というテーマに接することが多かった。


だから、「質問力」という主張を非常に新鮮に感じたし、面白かった。
二度、三度と読み返したい本か、といわれるとどーか、と思うが。