黒と茶の幻想(上)

黒と茶の幻想 (上) (講談社文庫)

黒と茶の幻想 (上) (講談社文庫)

ついでにメモ。とりあえず、半分程度まで。ひさしぶりにライトノベルでない小説を読んだが、心理ミステリであることもあって、文章の密度が濃い。二日かけて150頁程度しか読めてない。「イリヤ4」の半分以下のペースだ。

長編「麦の海に沈む果実」の登場人物、憂里が登場したのに思わず鳥肌がたった。
もともと、「黒と茶の幻想」は恩田陸の長編「三月は深き紅の淵を」に登場する小説中小説の一部を切り出したもののはずなのだが、同じく「三月は〜」から生まれた長編「麦の海に沈む果実」のエピソードがここで引っ張ってこられるとは思わなかった。

主人公は三十代の女性だが、高校生あたりの回想シーンなどが(深く、もっと深く)と、階層的に並べられていることもあって、非常に若く見える。作中で語っているように、旅行中なので母親とか妻とか、会社での肩書きとか、そういうものを取っ払った存在として動いているからだろうか。
恩田陸はいつまでも高校生しかかけない、訳ではない……と思いたい。