ロミオとロミオは永遠に(上)

ロミオとロミオは永遠に〈上〉 (ハヤカワ文庫JA)

ロミオとロミオは永遠に〈上〉 (ハヤカワ文庫JA)

人類によって汚染され尽くした二十一世紀半ばの地球。
他のすべての人々が見捨てた世界に、日本人だけが残って汚染物質の処理にあたっていた。
その希望のない世界で、約束された未来を手に入れる方法はただ一つ、かつての東京に作られた巨大学園「大東京学園」を主席で卒業することだった。

非常においら好みのストーリーのはずなのに、全然話にのれないのは何故なんだ。
直前によんだ「茶色と黒の幻想」が、比較的大人の話だったせいか、こうまで直球青春学園小説だと、よんでいて登場人物に感情移入するのが気恥ずかしいのかもしれない。でも、以前読んでた「ネバーランド」とかは、高校生の話だったけど結構楽しめたからなあ。恩田陸の書く高校生男子は屈折しているものだ、という先入観が、一本気な主人公に感情移入するのを邪魔してるのかもしれない。結局、なぜ面白がれないのかは、わからない。

今回、「東京」全体を敷地とする巨大学園を書くのが作品の主要な売りだと思うんだけど、恩田陸ってこういう小世界を、リアリティを持たせて書くのがあんまり得意じゃないよね。たとえば、新城カズマとかと比べた場合に*1。男子高校のアンダーグラウンドなんだから、もっと猥雑とした感じでいいと思うんだけど、なんか変に小綺麗なんだよな。確かに、細かいネタがたくさんばらまかれているけど、それもなんか変にウケを狙いに行ってしまったような感じがして、楽しめない自分がいる。

ジュブナイル小説だったのか? ひょっとして?
まあいい。まだ下巻があるので、後半に期待しよう。

*1:そりゃそうだ