ロミオとロミオは永遠に(下)

ロミオとロミオは永遠に〈下〉 (ハヤカワ文庫JA)

ロミオとロミオは永遠に〈下〉 (ハヤカワ文庫JA)

最後まで読んだ。やっぱり最後までそんなに楽しめなかった。

鏡明による解説を読んで思ったのは、作者と自分のジェネレーションギャップ。
作中で女の子が原田知世が歌う「時かけ」の主題歌を口ずさむシーンがあるんだけど、昨日、一昨日に「1983年の時をかける少女」を見たときに「これは自分の世代に属するものじゃないな」と感じたように、作者にとっての二十世紀とオイラにとっての二十世紀が世代半分くらいの微妙さでずれているんだと思う。だから、作中にあふれる「恩田陸にとっての二十世紀に対する郷愁」にオイラが浸れないのかな、と思った。
例えば、逆に「always 三丁目の夕日」とか「20世紀少年」まで古くなると、完全にオイラの生まれる前の時代の話で、ファンタジーの世界だと思って楽しめるんだと思うんだ。「クレしん 大人帝国の逆襲」も同じく。いつも恩田陸の書くノスタルジー世界に共感できるのは、それが時代性とあんまり関係ない道具立てによって発生していたからじゃないかと思うんだ。

文庫版の後書きにあるように、かなり悲惨なバッドエンド。
二十世紀を生きた人間が、郷愁から二十世紀に戻りたいというんじゃなくて、今の世代の子供たちが二十世紀に戻りたいというのは、どこまで希望のない話なんだ。