ブレイブストーリー(中)

ブレイブ・ストーリー (中) (角川文庫)

ブレイブ・ストーリー (中) (角川文庫)

面白くなってまいりました。

(上)の前半、現実世界の念入りな、書く登場人物の美点と欠点のバランス感覚あふれる書き込みようも面白かったけども、終盤で幻界にきてからはなんだかワタルの脳天気さが先に立ってしまって、面白さが持続するかどうかハラハラしながら読んでいたんですが、幻界は幻界で面白いじゃないか。ティアズヘブン編とか。

書き方がやっぱりすごくうまい。種族間差別とか、宗教対立とかハードな話を、中高生向けに色々「前置き」を用意して読みやすくしてると思う。割と最初のほうに洞窟の新興宗教の話があるから、その後の宗教対立の展開が読みやすいんだよなあ。たぶん。
(上)で、ワタルの情けないところとか、嘘をつくところとかが、ちゃんと書かれているから、最後の方の博士との対話とかがぎゅっと説得力を持ってるんだと思う。

(上)でもあったバランス感覚は持続していて、辛い苦しい理不尽なエピソードと楽しく美しく心温まるエピソードを交互にうまく配置していて、昔よくあった甘ったるい異世界ファンタジーにならずに、かつ読んでいて辛くならないくらいに「ほっと」一息つくことができる。

後半にあった、現実世界で母親と再会するシーンが読んでいてほろっとした。
ゲーム脳の恐怖」におののいているお母様方に読んで欲しい感じがした。宮部みゆきってゲーム好きだし、たぶん、意図的なんだろうなあ。