暗号解読 (下)

暗号解読 下巻 (新潮文庫 シ 37-3)

暗号解読 下巻 (新潮文庫 シ 37-3)

良かった。久々に読んだノンフィクションだが、歴史好きだったので楽しめた。

歴史メインだった上巻で第二次世界大戦までやってしまったので、下巻は暗号の解説ばっかりなのかと思っていたが、戦後のコンピューターを使った暗号の進歩についての説明はとても面白かったし、未来の暗号である量子暗号についての解説も並のSF小説よりもガッチリと量子理論について説明していて面白かった。

問題のありかを、しろうとにも分かりやすく、第一歩からちゃんと最後に行き着くところまで、段階をふんでぼかさずに説明しているので、途中で置いてきぼりにならず、ごまかされた感じもしないで理解できる。

……と、思ったが、やはり公開鍵暗号はよくわからない。公開鍵で暗号化して、秘密鍵で複合するんだよなあ。何度か暗記したのだけれど、そのたびにわすれてしまう。鍵が同じでない非対称暗号であるけんと、公開鍵で暗号化した場合に、ただ一つ秘密鍵でのみ複合できるよう一方向に値を変換できる関数を作り上げたのが、公開鍵暗号のキモだということなのかなあ。

暗号の歴史を追ってみると、政府が隠し持っている技術の凄いこと凄いこと。エニグマ暗号が解読されていることを秘密にして英連邦内でエニグマ機械を配りまくった英国政府とか、アメリカ人たちが公開鍵暗号方式を発明するより前に公開鍵暗号の理論を作っていた英国情報機関とか。英国ばっかりだな。そういうのは。アメリカ政府が隠し持っている技術は単にまだ明らかになっていないというだけなのか。

そういえば、銀行のネット口座って、暗号表を書いたカードが送られてきたなあ。あれが本書で説明していた鍵配送問題なんだよなあ。あ、あれ、するってえと、公開鍵暗号じゃないのか。暗号を頻繁に変更しないと、意味のない文章からでも解読されるというのも本書で理解できたわけであるが、パソコンでは暗号をほぼランダムな文字列として作れるのがいいよなあ。でも、同時にランダム文字列なんで、パソコン壊れたらマズイなあ、と。