クロノクルセイド 5〜8

クロノクルセイド (Vol.8) (ドラゴンコミックス)

クロノクルセイド (Vol.8) (ドラゴンコミックス)

8で完結。途中で加速して、勢いを増して最後まで走りきった少年少女漫画だった。良作。ちなみに、表題のような台詞はありませんのでご注意ください。「もう食ったさ」もありません。

半分を過ぎたくらいから、設定の粗を勢いで踏みつぶして進むようになった感じがしたが、立ち止まって解説を入れると今度はテンポが悪くなりそうなので、それはそれで良かった。伏線が謎のママ残ってるのは、消化するのを意図的にごまかしたのだと思う。敵味方がハッタリばっかりかますせいで、終盤になったらキャラクター同士の力関係(とくに周囲のキャラクターの強さがインフレするなか、主人公がどの程度役に立つのか)が全然わかんなかったのが、バトルマンガとしては難点か。あ、あとなんか、大判のマンガだからかもしれないが、たまにすごい読みにくいコマ割りがあった。

クロノ過去編に突入したあたりで「ああ、これって、昔妄想した『萌え版 うしおととら』じゃないか」と思った。あとなんだ。アクマと修道会が戦う展開といい、無茶なSF設定といい、これって「ディーグレイマン」とクロスオーバーしたらいいんじゃないか、とかも思った。

萌え版 うしおととら

蒼月潮が、蔵の地下で見つけたのは、獣の槍で縫い止められた女妖怪「とら子」だった。という話。

もともと「とら子」を地面に縫い止めたのは、潮の先祖。生け贄になりそうな幼なじみを助けるために、魂を食われる槍を手にとって「とら子」に立ち向かう「馬鹿な男だ。その槍はお前のココロを食らう。わし(「とら子」の一人称は「わし」)を斃そうが、あの女はお前のものにはならねーんだ」「そんなかぎ爪だらけになった手で、女を抱くつもりかよっ!」「いつか、お前にも自分より大切な奴が現れるさ」とかあったり。

「とら子」はもとは人間で、大昔の中国で多くの恨み辛みを持って生きていた後宮の美姫だったとか。自分の国を滅ぼされ、後宮に捕らえられてから、一度も笑わない女だったが、策を巡らせて、自分を捕らえている王と国を滅ぼし、悉く姫たちが死に絶えた後宮で高らかに笑った「とら子」のカラダから、白面のものが出現し、「とら子」は妖怪になった。

「とら子」と潮は旅を続け、二人の関係は少しずつ変わっていく。
だが、「とら子」は白面の側に立った、潮が姉と慕う人間の女を、戦いの末に殺してしまう。

「ああ、風が止んだのね」「……これだから人間は嫌いなんだ。簡単にくたばりやがって」

「姉ちゃんを殺したのかよ、とら子! お前なら、きっとなんとかしてくれるって思ってたのに!」
「ああ、殺したさ。本気で向かってきたから、粉々に砕いてやったさ。所詮、人間なんてわしの前では獲物にすぎねえんだよ」

「あばよ! バケモン!」

以下略。
「とら子の胸に、穴なんて空いていないよ」「ああ、もう食ったさ。もう、腹ぁいっぱいだ」