メディア・バイアス

メディア・バイアス あやしい健康情報とニセ科学 (光文社新書)

メディア・バイアス あやしい健康情報とニセ科学 (光文社新書)

電車待ちの時間があったので、本屋で新書の冒頭をパラパラとめくってみたら面白かった。が、そう思って新書を買ったらこの間失敗したので、真ん中のあたりをランダムに開いて数頁読んでみたところ、やっぱり面白かったので買ってみた。ちゃんと最後まで面白かった。良い本だ。

最初は「納豆ダイエット」など、出版当時タイムリーだった健康情報番組の話題から始まって、フードファディズム環境ホルモンについての報道での扱いから、「買ってはいけない」から現在に至る情緒的な添加物バッシングと盲目的な自然志向賛美への批判、「伝統的な日本食、昔の野菜は美味しかった」的な懐古主義への批判、偽科学とくに「マイナスイオン」が広まった経緯、「水からの伝言」について、バイオ燃料ブームの虚実と、主にマスメディアがどうして化学分野で偏った知見に基づいた報道をしがちなのか、元新聞記者の筆者が自分の経験を交えて書いている。
テーマが多く、どの問題についてもちゃんと文章がまとまっていて、読み応え十分。

十年前の「と学会」の本って、これくらい面白かった気がするんだけど。いったいあの面白さはどこへ行ってしまったのか。なんか「逆メディア・バイアス」というか、相手が極端に科学的に間違っている部分だけあげつらうようになってしまったような気がするんだよなあ。