神の雫 1〜11

神の雫(11) (モーニング KC)

神の雫(11) (モーニング KC)

ワイン漫画。新聞などの書評でも取り上げられてる噂の漫画で、かつワインというのは非常に胡散臭い題材だなあと、若干身構えつつ手を出してみたら、かなり安心して読める漫画だったので一気に読めた。この二十一世紀に、「美味しんぼ」の流れを汲む(?)美食によって人間が幸せになるのだ、という遠大なテーマに挑んだ正調グルメ漫画だな。

ライバル同士による美食対決が繰り広げられるのも「美味しんぼ」的だし、「ビール会社のワイン事業部の若手社員(偉大なワイン通の父有り)」と「同じ事業部の派遣社員の女性」が、「声望高い青年ワイン評論家」と対決するというのも実に「美味しんぼ」的で、このみちはいつか来た道、とばかりに安心してマンネリズムを楽しむことができた。この安定感は少年漫画やヤングアダルト系の青年漫画にはない部分だなあ。

作中にワイン作りのポイントとして「天地人」という言葉が繰り返しでてくるので、真面目に読むのに苦労した。ワインには「その年の天候」「ワイン作りに適した土地」「人間の技・工夫」が必要だ、というような話なのだが、「天地人」という文字に、これだけの意味づけを成し遂げたのは、大河ドラマとして非凡だと思う。