ネクロポリス(上)

ネクロポリス 上 (朝日文庫)

ネクロポリス 上 (朝日文庫)

いつもの恩田陸の衒学嗜好の混じったホラーテイストのミステリー。旧イギリス植民地とおぼしき、日本とも縁のあるような国のなかでも特殊な地域、「ヒガン」と呼ばれる期間には死者が戻ってくるという「ヒル」に主人公と一同が入っていくと、実際そこでは次々と主人公の前に死者が現れ、何事かを語っていくわけだけども、「ヒル」での殺人事件や失踪が起こるに至って、主人公は素人探偵として事件に向かい合うわけですが……

恩田陸作品のいつものパターンなのか、上巻だけは無茶苦茶面白い。むしろ、完結編を永遠に出さなければ、どれも名作として語り継がれるんじゃないかと思うくらい毎回終盤がひどいので、今回もがっかりすることは確実とはいえ、今度こそ綺麗な結末がくっついているのではないかという期待は膨らまざるを得ない。そんな期待をしては裏切られ続けて、もう十五年ぐらい経つわけですが。