痕 1

痕 1 (電撃コミックス)

痕 1 (電撃コミックス)

7/10点満点。
『痕』は私にとってオールタイムベストなビジュアルノベルとはいえ、すでに十年前のゲームだから、知らない人による漫画だったら買わなかっただろうけど、このエロ漫画家はどっかで見たなあ、全年齢向け漫画も書いてたんだ、ということで買ってしまった。
原作では最初の何周かはほとんど描写されない楓の場面が多いあたり、漫画家は楓が好みなんだなあ。というオーラが濃厚に充満していて恐ろしいばかり。次がツンデレで鬼な梓(自分を慕う後輩が誘拐された時に見せる表情が実に『ひぐらし』的)、クールな千鶴さん、空気な初音と続く。楓のキャラクターって、どこから本人のものでどっから先祖のものか分からないので、十年前にはあまり感情移入できなかったんだよなあ。今だとどうなんだろ。

たぶんリメイクを作ったのをきっかけに漫画化されたんだと思うんだけど、読んでるとプレイしてた当時の気分がみなぎってきてとってもよい感じ。複数ルートのイベントがザッピングしながら進むのも良い。猟奇でグロな場面や絵柄も、今風の漫画なので基本的に省略しないのが潔い。エロはエロで書くし。たぶん十年前だと一般向け漫画でここまでは書けなかったと思う。

しかし、「ひぐらし」の大石って、やっぱり長瀬警部からインスパイアされてるよなあ。と、中盤の嫌らしい問答を見ながら思ったわけさ。みんなこの作品から派生して、再度ここに集まるんだなあという感慨もある。
原作では副主人公的な扱いのルートもあった「犯人はヤス」が本当に背景なので、これからどうキャラづけするのか、とか、一周目は千鶴さんに刺されて死ぬのがデフォなのを、漫画でどうやって描くのか、というあたり、二巻目が楽しみである。

しかし、背丈からいっても、描き方からいっても、たぶん、諸般の都合から下の三人が全員高校生に設定されたゲーム版と異なり、元々の構想通りに「楓が中学生で初音が小学生」なんだろーなあ。この漫画。なんて鬼畜な。