プロバビリティ・スペース

プロバビリティ・スペース (ハヤカワ文庫SF)

プロバビリティ・スペース (ハヤカワ文庫SF)

ムーン、サンと経由した三部作の最後。これだけまとまった分量のSF小説を読んだのは『イリアム』以来だが、とても面白かった。

正直同じ作者による短編集『ベガース イン スペイン』はそれほど面白くないと思ったが、この三部作には外れがなかった。
解説には作者は中短編が得意で長編には不向きと言うのが不可解になる感じ。

善玉も敵役も、かなり分かりやすい造形のキャラクターの魅力でがしがしと話を進めるのは非常にラノベ的であると思う。

まー、なんかアマゾンでは不評なようで、その理由もわからなくはない。三部作の最後でストーリーを終わらせるために色々な謎解きを放置したり、えらくご都合主義展開をしたりする部分は多々ある。

これまでメインで語られて来た『世界』のことを簡単に片付け過ぎだし。主人公は色々物事に関心がなくて薄情だし。

ただ、ひとつの物語として肝心な部分については完結させたことは評価したい。