交渉人 真下正義
交渉人 真下正義 プレミアム・エディション (初回限定生産) [DVD]
- 出版社/メーカー: ポニーキャニオン
- 発売日: 2005/12/17
- メディア: DVD
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以下の感想は僕の主観によるものであり、断言していることが真実とは限りません。
というわけで、ネタバレ進行で。
威風堂々 エルガー
ほぼ純粋にオマージュだけで作られた映画です。
SRCのシナリオのごとく、各作品へのオマージュのパッチワークでできてますが、劇場版パトレイバーと、三谷幸喜ドラマのファンとしては非常に面白かったです。
というか、管制室にこもりきりの探偵役と、列車を表現する電光表示、ほとんどすべて犯人からの電話で表現される地下鉄のハイジャック事件、っていう粗筋は「古畑任三郎 最後の事件」でしょ。もちろん、「古畑任三郎 最後の事件」も「ダイハード2」のパロディなんですが。
「古畑任三郎 最後の事件」では、実際に列車はハイジャックされておらず、「架空のハイジャック犯」が電光表示と電話でハイジャックを演出していくという展開なのですが、その点この映画の製作者側も考慮したようで、冒頭でいきなり、実際に”弾丸ライナー”が地下を爆走するところを見せ付けます。
そうか、これは「最後の事件」とは違うんだ、とこちらが気がついたところで、ユースケ=サンタマリアが登場、ストーリーが転がり始めます。
作中、東京の地下を走っている地下鉄を運営しているのは、TTRという架空の会社。
最後のスタッフロールでも注意深く見ていたのですが、どうやら東京メトロから協力をしてもらえなかったみたいです。これは非常に残念な点で、話の展開上地下鉄の路線が何度も何度もでてくるんですが、東京メトロ 日比谷線とか、東西線とか半蔵門線という名称を使えないため、架空の路線名をだすたびに都心でのテロがウソに見えるんです。
「営団14号線」の件も含め、リアリティをかもし出す、という点でむっちゃ残念。(作中、TTRが8路線で都営4路線という台詞があり、新路線があるなら実際と同じく13号線のハズです)
真下がやってきた地下管制室&コンサートホールで次々現れる登場人物が、みんな三谷作品の顔(国村隼、石井正則、小林隆、西村雅彦、今井朋彦)だったのでファンとしてはうれしかったけど、なんだかなあ、な感じ。とくに最後の今井朋彦は「おいおい、マジかよ……」と出てきた瞬間思いました。国村隼がマザコン、っていうのも「HR」からのオマージュですよね。
とどめを刺すような、最後のエンディングテーマ「威風堂々*1」がまた。
映画版「サトラレ*2」でファンになってしまった八千草薫が美しいお婆さまとして一瞬登場。あのまま、仕事から帰らない男たちを待ち続ける女たち、という役回りで登場し続けるのかと期待したのですが、さっさと退場してしまって非常に残念でした。
本広克行監督つながりで出演したんだろうなあ。
ここには誰もいないよ!
また、もう一方で映画を引っ張ってるのが「パトレイバー」からの引用。
「湾岸開発華やかなりし頃の夢の跡さ」
「この街には、きっとこういう場所がいくつもあるんだろうな」
「誰にも知られることもなく、か」
地下鉄の路線図に載っていない脇線と呼ばれる非公式の線路を走る弾丸列車。
この手の「地図にのってない地下道」は『踊る2』でもでてきましたが、今回は地下鉄路線を駆け回る警官隊の映像とともに、もろに上記の光景を連想させました。
地下管制室にほぼこもりっきりの真下と、犯人を追って地上の廃ビルをかけまわる木島は、後藤と松井っぽいし。
無人の弾丸列車は無線コントロールで運行されていくのですが、この遠隔操作されているテロリストの武器のイメージは「パト2」の飛行船のイメージ。
警官隊が狙撃を試みるのは、飛行船の銃撃シーンを連想しましたし、犯人から提示されるヒント「335.2」も、周波数からそらした*3のは「パト2」の「1251メガヘルツ」とかぶるからじゃないかと、妄想してしまいました。
だいたい、プログラマが十年前に仕掛けていたトラップによって、地下鉄運行システムが停止して云々、というあたりから帆場っぽいな、と思っていたんですが、中盤以降犯人のバンにたかるカラスの群れ。実写であるため、カラスが飛び回るシーンがなかったのが残念ですが、犯人と烏のイメージを重ねるのは、押井守。
というか、最後にたどり着いた犯人が実は……っていうのは、そのまんま帆場。
いっそ、真下宛ての電話なんていれなければ、実は事前に全部プログラムされていたんだ、ってオチもあったんじゃないかと思いましたが。