新選組!! 土方歳三最後の一日

新選組!は一話一日が基本のドラマだったなあ、そういえば。


五稜郭函館山を行き来する土方と、「組!」終了後のエピソードや回想を少し挟む展開に、ピースメーカーで有名になったらしい市村鉄之進のエピソード、榎本、大鳥といった幹部とのエピソードを挟んで完結。


榎本武揚草なぎ剛じゃなくなっていた。
香取慎吾も新作シーンがなかったし、その割に藤原竜也には新しい場面があったので、スマップだけ出演させられなかったのかな。
草なぎだったら、おそらく全然異なる印象になっていただろうが、これはこれで良かった。
草なぎ剛が榎本だと、裏がありそうに見えなかっただろうし。


珍しく榎本、大鳥圭介と和解してから戦死する土方を見た気がする。
とくに大鳥圭介は外見からしてイメージ通りでありながら、よい意味で予想を裏切るいい役をしていて、三谷幸喜新選組!らしい書かれ方だったと思う。
主に勝海舟が悪口を言い続けたため、変節したイメージの強かった榎本についても、生き残って新政府で開拓使につとめたあたりの解釈の付け方が良かった。中盤まで「結局切腹しないくせに何言ってるんだ」と思ってみてたけど、見る人間の裏をかくのがうまい。


ヌエと人間の話の落とし方は良かったが、ぜんたいあっさりとした終わり方。
荒野を走る市村少年のシーンで終わった*1のは、先年亡くなった杉浦日向子が描いた「合葬」の最後の方で元彰義隊の少年が一人走っていく姿を彷彿とした。


行殺新撰組*2での土方が函館で戦死するエンディングの情景が良かったんだけどなあ。


追記


見たとき気になったのは、市村が原野に向かって走ってくのと、もう一点。
中盤の土方と大鳥の言い争い。


最初に新選組が勝利しているのに新政府軍の大軍が迫っているのをみて退却命令を出した大鳥に対して「弱腰だ。戦争は勢いだ!」と言っておきながら、大鳥が今後の策を語り出すと今度は「常に最悪の状態を想定するのが作戦だ」というのは前後で矛盾してないか、土方さん。


確かに人間の言い争いは得てしてこういうものになりがちだし、論理的な策謀家よりも喧嘩上手の知恵者*3といった組!の土方のイメージには合ってるんだけど。


あと、榎本が戊申戦争後に明治政府に仕えたことは、常識だとは思いますが、番組前の説明などで入れた方が良かったかも。
榎本と土方の長い対話シーンは、榎本に対する印象が「この場を取り繕うつもりだな、この二枚舌野郎」から、「ああ、この馬鹿をもり立ててやるか」に変わっていく土方の感情に感情移入させようっていう演出意図なんだと思いますんで。
そういう前提知識がないと、榎本が「切腹するつもりだ」と言ったときに、見てる側が「この場を取り繕うつもりだな、この二枚舌野郎」と思わないでしょう。

*1:あの後どこへ向かうんだろう、とは思った。走って多摩まで行くつもりなのか

*2:途中から、金髪の副長をイメージして見てました。

*3:実際、大鳥もその場で土方の矛盾を指摘できなかった