DQ3→1編
二次創作・ロト王家の歴史 もくじ
1.DQ3→1編
2.DQ1編・前半
3.DQ1編・後半
4.DQ1→2・前編
5.DQ1→2・中編
6.DQ1→2・後編
7.DQ2編・前編
8.DQ2編・後編
本文
以降に連なる文章は、エニックス悪女図鑑より■大名古屋帝国MaxHeart■ ロト王国・サマルトリアの建国へ至る。一連のロト王家歴史ものに影響を受けて書いたモノです。イエイ。
ドラゴンクエストの背景世界
ドラゴンクエストについて、すぎやまこういちが「バロック音楽」をモチーフに作曲したことはよく知られていることだと思う。
その後、ドラゴンクエスト2を作成したときには、バロックより後の、ドラゴンクエスト3ではバロックより前の時代の音楽を使った。
バロック音楽とは、現実のヨーロッパ史のなかではいつ頃の音楽だろうか?
wikipediaによれば、17世紀から18世紀中葉である。ファンタジー世界として通常イメージされる中世ではなく、立派な近代だ。世界史的には30年戦争から、清教徒革命。デカルトからニュートンへ至る時代だ。
ここでは、ドラゴンクエスト1時点の世界は、ほぼこれと同レベルの社会であった、と仮定してみようと思う。魔法が実在する世界では、科学技術の進歩は若干遅れるかもしれないが、そこは数十年の誤差の範囲に収まっているものとする前提で進める。
すると、ドラゴンクエスト3の時点はこれよりおそらく百年以上前なので15世紀から16世紀くらい、ルネサンスと宗教改革の時代である。ドラクエ2は、1の百年後と明記されているので、18世紀後半から19世紀初頭。アメリカ独立戦争からナポレオン戦争くらいだ。
ドラゴンクエスト3→1のアレフガルド
ドラクエ?のラストで、アレフガルドを覆っていた夜が終わる。
これはルネサンスにより「暗黒の中世」が終わったことを象徴的に現しているのではないだろうか。
そうするといくつか面白い同期現象を「発見」できる。*1
ドラゴンクエスト?の時点では、教会で行うことのできるセーブ機能が、?では、国王一人にしか実行できない。
つまり、もともとは教会権力が各国の王を上回る特権を持っていたが、それが?→?の間に教会から剥奪され、国王に所属するようになったことを現している。もっとも、?の時代にもベラヌールなどでは教会にセーブ能力があるので、すべての地域で王権が教会に勝ったわけではないが、少なくともアレフガルドではラルフ王家のもと、絶対王政が確立しているわけだ。
なぜ、そのような転換が起こったのか。
勇者ロトは大魔王ゾーマに封印されていた精霊ルビスを解放してその守護を得た。
この結果、従来信仰されていた抽象的な一神教(「おお、カミよ!」という奴)と別に、精霊ルビスという人格神を信仰する緩やかな宗教が発生した。
この宗教は後に?の時代に至まで大寺院を持たないこと、ルビスの守りなどの存在等から土俗信仰に近い形で信仰されていたことが分かるが、ラルフ王家はこの新興宗教を利用し、従来の教会勢力とはまったく別個のアレフガルド国教会というべき体制を作り上げた。
王はアレフガルドの統治権を、精霊ルビスより直接委託されたものであって、王権は精霊に由来する。
この理屈は国王権力を強固にし、国王は単なる有力な貴族から神に等しい存在に格上げされることになる。ラルフ王家は封建領主を廃止して王都ラダトームに貴族たちを集めて廷臣とし、強固な官僚機構を作り上げたのだった。
もとはラダトームの街の郊外にあった王城を、街から少し離れた場所に造営したのも、ヴェルサイユ宮殿のように強大な王権を象徴するためである。
この弊害として、アレフガルドの地方都市は荒廃したこと、またゾーマ亡き後に近隣に他国が存在しなかったため、貴族の軍隊が廃止された後に国家の常備軍が建設されなかった。これがのちに竜王が出現したときに致命的な問題を引き起こす原因となる。
ドラゴンクエスト?→?の国際関係
ラルフ王家がアレフガルドに絶対王政国家を作り上げたとき、領内には大きな敵対勢力が最初から存在した。
もちろん、竜王である。
ラダトームの対岸にある竜王の城は、ゾーマ城と同じ場所にある。
もともと、大魔王の城だったところに入った竜王だが、出自からして、この世界にやってきたときから悪役だったとは思えない。
どちらかといえば、ゾーマに代行してアレフガルドのモンスターを統括するため、勇者ロトが連れてきたのではないだろうか。
おそらく主張としてはより強固なルビス崇拝者であり、国教会的なやり方には反対していたものと思われるが、何しろやってきた当初は幼少だったこともあって、ラダトームの王権とも融和的な政策をとっていた。
領外をみたときに、西のルプガナは港町としてすでに繁栄していた。
ドラクエ2の地図上はわかりにくいが、世界はトーラス状*2であるがゆえ、ルプガナから北へ行けばベラヌール、南西ならデルコンダルがある。
ベラヌールは教会を中心とした都市である。
おそらく、アレフガルドが国教会になってしまったため、ベラヌールが従来の教会の中心となったのだろう。反動宗教改革である。
彼らは熱心な宗教家として、首狩り族の住む奥地まで布教して回り、テパ、ザハンなどを「発見」し、植民地としてベルポイの地下都市を建設した。
デパに不釣り合いなヨーロッパ的巨大建築「満月の塔」と「水門」などは、わざわざ地下にベルポイを作ったのと同じく、こうした伝道師たちが作ったものと思われる。
彼らにしてみれば、進んだ技術をみせることで伝道の一助としたのだろう。
後のラゴスはこうした伝道師たちのうちの、不心得者ではないだろうか。
デルコンダルは、ゲームブックなどではカンダタが建国したことになっている。
おそらく、カンダタは勇者ロトと別れたあとルプガナからデルコンダル島へ渡り、その後は南米を征服したヨーロッパ人のように、比較的原住民と混血を進めつつ、新国家を建国したと思われる。