エンディミオンの覚醒〈上〉

エンディミオンの覚醒〈上〉 (ハヤカワ文庫SF)

エンディミオンの覚醒〈上〉 (ハヤカワ文庫SF)

一週間、たっぷり楽しめた。さすが700頁だ。
唐突にいなくなったり、ステージで演説したり、主人公ロール・エンディミオンが弱気になるたび夢にでてくるアイネイアー16歳のイメージがすっかり涼宮ハルヒになってしまったのは読んだ順番が悪いんだよなあ。

「見て、ロール!。これが、このあたしがデザインして、A・ベティックが誰にも内緒で作り上げたカヌーよ!」
「それはいいんだが、アイネイアー。誰が、これに乗っていくんだ? 三人は乗れそうにないが」
「そんなの、ロールが一人で行くに決まってるでしょ!」
「……まあ、百歩譲って、それもいいとしよう。で、いつ出発すればいいんだ?」
「もちろん、今すぐよ!」
 今すぐって…… 俺には仲間に別れを告げる自由もないのか?
「ほら、さっさとカヌー担いで! 夜明け前にミシシッピ河まで行くわよ!」
     (そんな感じの話です)

コンクラーヴェ -Wikipedia

作中で未来世界での教皇選挙が執り行われるのだが、そのときの解説では三つの方式があげられている。ただし、Wikipediaによれば、うち二種類はもう何百年もやってないというのは興味深い。パクス世界は現在の教会ではなく、中世ヨーロッパまで規範を戻しているのか。

キリスト教世界から、その他宗教世界へ足を踏み入れるのって、「ゼノサイド」とかそんな感じかなあ。だが、ハイペリオン宇宙で初めて書かれた仏教世界よりアイネイアーと再会するまでの不思議冒険の日々が面白かった。前作「エンデュミオン」が、三人組での旅だったので、今回は一人旅なのが良かったのになあ。ひたすら酷い目にあるエンデュミオンが弱気になるたび、夢にでてくるアイネイアーとか。

アイネイアーの<コア>の発祥についての演説のところで、ぐっと来る。この世界は、平行世界やIFの世界ではなく、おいらの立つこの世界の先の方に繋がっているのだ。