夜のピクニック (後半)

夜のピクニック (新潮文庫)

夜のピクニック (新潮文庫)

最後まで面白かった。珍しく、最後に話をまとめきった。

個人的には先月読んでいた「茶色と黒の幻想」の方が面白かったと思うが、黒々とした心理描写などなど、あれはいかにも年を食った読者(大学卒業後数年経ってないと、あの感慨は分からないような気がする)対象だし、上下巻で分量もながく、場所によっては構成に気を配りすぎていて読みにくい。「夜のピクニック」の方が分量もまとまっていて、現役の高校生にも、ついこの間まで高校生だった読者にも面白く読めるんではないかと思う。

まあアニメ版の「時かけ」を見ていて「今時の高校生がこんなに純情可憐か?」と思ったように、この小説の登場人物たちもイヤになるほど純情可憐な良い子たちで、「十年前に高校生だった自分からすると、確かにノスタルジーのなかの高校生活はこんな感じだったような気がするが、今の高校生に本当に通じるんだろうか」という不安がよぎる。正直なところ、通じて欲しいと思うんだけどさ。