ハウルの動く城

ハウルの動く城 [DVD]

ハウルの動く城 [DVD]

はじめて見た。面白かった。
何でこうなったのか、話の展開が全然分からなかったけど、感涙できる映画だった。


とても映画に没入して観ることができた。ソフィーがきりっとしていて、かつ人間ができていて、ハウルの世界を変えていくのがいい。すぐ「私は美人じゃないから」とか、卑屈になるのが欠点だけど。戦火の悲惨さとか、人物の良いところ悪いところも書きながらも、ちゃんとハッピーエンドに持って行くところとかも良かった。今年みたせいか、ハウルが「これまで戦うのが嫌だったけど、今は君を守りたいんだ」とか言って戦場の空へ飛んでいくのをみて、なんの力もないソフィーがハウルを助けるために頑張るのを観て、「イリヤの空、UFOの夏」をまた連想した。これがハッピーエンドに終わったことで、イリヤの悪い読後感から逃れることができると思いたい。


ただ、場面場面は面白いんだけど、話の大筋はぜんぜん分からなかった。先生がどうしてハウルを襲っていたのか、そしてどうして戦争を止めようと思ったのか、とか、ソフィーは呪いをかけられた後、ハウルに出会おうと思って出かけていったのか、出かけていったら偶然ハウルに会えたのか。街であった時にハウルだと確信していた感じじゃなかったけど、実はそう思っていたんだろうか。だいたい、主要なストーリーの悲惨な戦争の話とハウル個人の話に、なんの関係があったのか分からないのと、ソフィーに掛かっていた呪いがどうして解けたのかが分からないんで、どうしてハッピーエンドになったのかが分からない。
……いや、妄想を膨らませて脳内補完すれば分かるようなきがするけど、ジブリ映画ってそういうもんなのか。

「先生とか、怒ってくれる人がいないから、傲慢なバカになっちゃうんだよ。特に日本では」
レベッカ宮本


宮崎駿の映画って『紅の豚』あたりから、話の本筋と登場人物の思考回路が読めなくなってきて(アシタカとかひどかった)、まあ『豚』はべつに趣味の世界で完結していてもいいタイプの映画だったんだけど、『もののけ姫』『千と千尋』と経由するに従って話が理解しにくくなってきた気がする。いや、映画としては面白いんだけどさあ。


最後に、英語とフランス語の音声がはいっていたので、少し聞いてみた。フランス語だと、かなり日本語版と声質が似た声優が演じている感じ、英語版だとハウルの声がちょっと男らしすぎて、ソフィーは声に張りがありすぎる気がする。日本語ソフィーの若い声は、観てるときはちょっと無理があるなあ(20代後半に聞こえる)と思ったけど、別の声優がやってるのをみると年寄り声から若い声へ段階的に変わっていくシーンなどが、非常に自然に聞こえる。