グロス・ぱいッ!チュラント⊂彡 感想と攻略と

1943年春にカナダを占領して、戦勝まで。難易度易。プレイ時間は10時間くらい?

リプレイ的に

<前哨戦>
1939年 9月:独軍ポーランドに侵攻。WW2開戦。
1939年10月:奮戦むなしくポーランド降伏。独ソ不可侵条約が発効。
1939年11月:リトアニアを占領。バルト三国はロシア、ドイツの占領下となる。
1940年 2月:独軍デンマークを占領。グリーンランドアメリカ軍が進駐。
1940年 4月:独軍オランダを占領。英軍の空襲が始まる。

<独仏戦と第二前線の発生>
1940年 5月:独軍ベルギーに侵攻。ベルギーに居たフランス戦車団と初の両軍ともに戦車を主力とした戦闘となるも、物量の差により独軍が圧勝する。
1940年 5月:ベルギーより、独軍がアルデンヌへ侵攻。独仏戦本格開始。イタリアが枢軸国となる。この頃までに、独軍は第二戦線を編成、ユーゴスラビアと開戦。
1940年 6月:ソ連ルーマニアへ侵攻。ルーマニアが枢軸国となる。ソ連軍は有効な航空機支援が得られず、逆にユーゴスラビア中部を占領して国力を増したルーマニア軍は意外に善戦し、ソ連軍は泥沼の戦いに落ち込んだ。
1940年 7月:フランス北部海岸一帯を制圧した末、パリ占領。フランス降伏。同時期、ユーゴスラビア降伏。ブルガリアが枢軸国となる。

ブリテン島上陸作戦と初期独ソ戦
1940年 9月:英加軍がノルマンディー上陸作戦。その後の動きからすると、フランスの海岸線を突破して最終的に同盟国ベルギーを支援する戦略だった模様。しかし、潜水艦部隊に水際で迎撃され、実に戦力の95%を上陸前に喪失するという壊滅的打撃を被る。
1940年 9月:第二戦線がエジプトへ到達し、北アフリカのイギリス軍を放逐する。北アフリカに進出した部隊は独ソ戦に備えて北上。
1940年10月:ブリテン島上陸作戦、ゼーレヴェー作戦決行。英加軍の防衛戦力が大幅に減退したのをみて、南部イングランドへの上陸を計る。
1940年11月:ユーゴスラビアパルチザンが決起するも、北アフリカより戻ってきた舞台により鎮圧される。
1940年11月:ソ連に宣戦布告。独ソ戦始まる。とはいえ、初期は両軍ともに戦力が整わず、前線では小競り合いに終始した。
1940年11月:ソ連軍、フィンランドへ侵攻。フィンランドが枢軸国となる。
1940年12月:ロンドン攻略に成功。しかし、加軍はなお戦意があり、ブリテン島北部で頑強に抵抗した。同時期、北アフリカ戦線から戻った中規模戦車隊がウクライナへ侵攻し、独ソ戦が本格化する。ルーマニアで大量に戦車を失ったソ連軍は陸上戦力が貧弱であり、翌年春までの間に、ドイツ軍がポーランド全土、西ウクライナに徐々に勢力を伸張する。ただし、ソ連軍の航空機部隊は積極的に攻勢を行い、これに対抗できる航空機部隊がない独部隊は度々深刻な打撃を受けた。

アメリカ参戦と独ソ戦の本格化>
1941年 3月:アメリカ、ドイツへ宣戦布告。このころ、ロンドン攻略戦から抜けてきた部隊が東部戦線に合流した。とくにバトルオブブリテンを闘った戦闘機・爆撃機部隊の参入で、航空戦力の比率が逆転したのが戦況に大きく影響を与えた。
1941年 3月:フィンランドを出発地として、モスクワへの戦略爆撃開始。効果絶大。
1941年 4月:第一軍がブリテン島全土の攻略に成功。カナダ軍はカナダ本土へ撤収。
1941年 5月:アメリカ軍の大部隊がモロッコに上陸。モスクワ攻略作戦を開始。
1941年 6月:レニングラードの戦い。度重なる爆撃でソ連軍の戦力は戦車1部隊のみ。あっけなく占領。
1941年 6月:ソ連首都モスクワを攻略。ソ連邦降伏。しかし、ソ連の領土の半分はなお、占領できていなかった。
1941年 9月:新たに創設された戦車部隊が北アフリカトリポリタニアアメリカ軍と激突。新型パンター戦車はごく少数でありながら、アメリカ軍を釘付けにしたが、最終的には撤退を余儀なくされた。しかし、時間を稼ぐには十分だった。
1941年11月:モスクワ攻撃部隊が北アフリカ戦線に合流。状況が一変する。
1942年 1月:第二軍がアメリカ軍を北アフリカから駆逐する事に成功する。

<大西洋の戦い>
1942年 2月:旧ソ連領の全土を掌握。アメリカ軍との大西洋での戦いが始まる。
1942年 4月:ジブラルタルを占領。戦車部隊、アゾレス諸島へ上陸。しかし、海中の敵に有効な打撃を加えられず、大戦で最大の消耗戦となる。飛行艇が大量に生産されはじめる。
1942年 6月:アメリカ領アゾレス諸島を攻略。
1942年 7月:アメリカ潜水艦部隊はほぼ壊滅。大西洋の制海権を握る。

終戦
1942年 8月:カナダ、アイスランドへ上陸。
1942年 9月:ギリシャ、ベルギー降伏。
1942年10月:アメリカと講和条約調印。相互不可侵。アメリカ軍はヨーロッパから撤退する。
1942年12月:カナダ降伏。
1943年 1月:ノルウェー降伏。
1943年 4月:雪解けを待って、カナダ全土を攻略。終戦

上記のプレイ時のユニットについて

<陸軍>

  • 三号戦車:フランスの戦いまでの主力戦車独ソ戦のときには旧式化したが、少数は最後のカナダ上陸作戦まで現役だった。
  • 四号戦車:モスクワ戦までの主力戦車。数度のモデルチェンジを繰り返し、最後まで現役で戦った。終盤、カナダ軍のM4mk2と戦うまでは、一線級の戦車だった。最後はヤラレメカと化した。
  • パンタートリポリタニアアメリカ軍と戦ったとき、航空支援があったとはいえ、わずか40両のパンターが600両近いアメリカ軍を足止めしたときには驚いた。終盤の主力戦車だったが、カナダ軍のM4A2とプリーストの混成部隊にはやや苦戦した。
  • ティーガー:少数が試験的に生産されたものの、実戦では使われなかった。
  • 対空砲:初期は役に立ったが、敵の航空機が強力になるにつれ使われなくなり、ソ連の空軍の前にはほぼ無力だった。
  • 砲:序盤は活躍したものの、中盤以降はただの的であった。
  • 歩兵:大量に前線に送られ、大量に消耗された。ハーフトラックや重歩兵は終戦間近まで導入されなかった。というか、導入してみたらハーフトラックつよ!なんのためにあんなに大勢の歩兵がギセイになったんだ……

<空軍>

  • Bf109:主力戦闘機。損耗率が低かったため、改造を繰り返し、終戦まで使われた。
  • Bf110:航続距離の長い戦闘機兼爆撃機として活用され、バトルオブブリテンで活躍した。その後は、専用機が育ったこともあり、使われることが少なかった。
  • Fw190:戦闘機。若干数が北アフリカで使われたが、Bf109への優位性がなかったため、試験採用に留まった。
  • Ju 87:攻撃機。バトルオブブリテン独ソ戦北アフリカでの戦いで使われた。航続距離が短く、また地上の敵を攻撃するには、戦車の方が有効であったので、攻撃機は徐々に使われなくなった。
  • He111:主力爆撃機独ソ戦の終盤で投入され、北アフリカ戦線、大西洋の戦い初期に活躍した。
  • Do217:He111と並ぶ爆撃機。大西洋の制海権奪取のため、量産されたが、活躍の場はすくなかった。

<海軍>

  • BV138:大西洋でのアメリカ海軍との戦いのために大量に生産され、制海権奪取の決め手となった。
  • ユーボート:大西洋の戦いのために大量に生産され、輸送艦隊の攻撃で多大な戦果を挙げた。
  • その他艦艇:基本的に計画倒れであり、ほとんど有効活用されなかった。

感想

教育的価値が高く、優れた第二次大戦ものSLGだと思う。反面、ゲーム性の面では問題もいくつかある。
教育的価値とはなにか、というと、まず、このゲームやると第二次大戦の欧州戦線が大局的にどう推移していったかが、なんとなく分かったような気になる。どうやっても、ポーランド戦→デンマーク、オランダ、ベルギー→フランス、ユーゴスラビア→バトルオブブリテン北アフリカ戦線→独ソ戦アメリカ軍北アフリカへ上陸、とゲームが進むことになる。その結果、なぜ、ドイツが遠く北アフリカアメリカ軍とドンパチやらねばならなかったのか、とか、ソ連の冬将軍の厳しさと独ソ戦の過酷さ、ソ連・イギリス・アメリカを同時に敵に回すことの恐ろしさと、その状況でいかに戦うのか、といったことがなんとなくわかったような気になる。あと、イタリアのはた迷惑さも。

次いで、謎の機体ばかりだった兵器について、なんとなく分かったような気になる。ティーガー2がいかに強力でも、たしかにゲーム中での資金や生産期間とのバランスからすると、量産性の面ではパンター戦車を主力とするしかないし、中盤戦までに生産した四号戦車は大量に余るので、それを改造しつつ終戦近くまで遣い続けるしかない。大西洋の制海権を握るには大量の潜水艦と空挺部隊が必要だということが分かったような気になる。
また、陸軍・空軍・海軍について、それぞれの重要性と役割がなんとなくわかった気になる。なんで、三軍いないといけないのか、わかるような気になる。

ゲーム的な面での最大の問題は、戦闘解決フェイズが長いこと(半月で10分くらいかかる)と、イベントの会話が長いこと、CPUの思考が硬直的で、簡単に罠にはめることができ、かつ戦力を有効に使ってないのが見える点だ。モロッコから追い落とされ、制海権も失ったアメリカの戦車隊が、しつこく大西洋を横断しようとしては、海の藻屑と化すところとか。CPUは航空機と戦車を組み合わせて戦うことができないので、簡単に各個撃破されたり。ちなみにゲーム面での美点は、CPUがあまりズルをしないことだと思った。「ギ×ンの野望」やってて、イベントが起きると突然どこからか敵部隊が発生することほど、げんなりすることはない。

攻略

基本戦略

基本は「速攻」「消耗戦をしないこと」と「兵力の集中投入」「空陸海軍を合同した編成」である。この矛盾した要求を達成することが、勝利の鍵だ。

「速攻」について。ゲーム上、首都を攻略すれば国がなくなり、敵の兵士は残るものの、勢力を拡大しようとしない「居るだけ」の軍隊になる。このため、とくに首都が前線近くにあるイギリスやソ連相手では、むやみに戦線を広げず、一気に首都を落としに行った方が良い。例外はフランスで、フランスだけは首都を落とすと、枢軸国入りしてしまって、こちらが国土を増やせないので、フランスだけは必要な地域を制圧してから首都を抑える必要がある。
また、長期戦になるとCPUはどんどん部隊を増強し、都市の防御力を高める方向で投資をしてくるので、戦争が長引けば長引くほど、戦いは不利になっていく。次々と起こるイベントで、ソ連アメリカが敵にまわることも計算に入れると、とっととフランスを粉砕して、イギリスを無力化したいところだ。

「消耗戦」について。正直、味方の資金力は最後まで不足気味なので、自軍に無駄に使える兵力というのはない。ユニットに1機でも機体が残っていれば、すぐに部隊を再建できるので、士気がおちてきたユニットはすぐに自国の領土へ後退させて、保護するべき。また、古いユニットも改造をしていけば、ちゃんと終盤まで役に立つ。無駄に兵士を失わないためにも、消耗戦は避けること。そのためには、要塞などがある地域を無理矢理攻略することは避けることと、次の課題が重要である。
あと、絶対にムリな上陸作戦はしてはならない。敵に海上への攻撃力がある状況での上陸作戦はむだに貴重な戦力をすり減らすだけの行為でしかない。敵の防備が薄い部分に集中するか、敵の数が減ったチャンスをねらうべきだ。

「兵力の集中投入」とは、その通りで、戦力をできるだけかき集めて、いっきにぶつけるべきだ。そのためには、前線は二個までにしないと厳しい。また、多少の領土減少であれば、いさぎよく土地を諦めて、兵力を撤収させることを優先したほうがいい。どんなに優れた兵器でも、数がそろわなければどうしようもない。
とはいえ、航空部隊は比較的兵力を分散させても役に立つし、ゲーム中何度かは第二の戦線を作らなければならないときがある。機会をみて、第二の兵集団をつくるのがよい。

「空陸海軍を合同した編成」とは、戦場を予想して、それにみあった部隊を編成することだ。たとえばイングランド上陸作戦では海軍が必要になるし、ソ連との戦いでは航空戦力を有効に活用しないと難しい。アメリカとの戦いでは、一転して海軍がないと優位をとれない。基本的に兵力としては空軍が圧倒的に有力だが、空軍には「踏みとどまって戦う」ことができないという欠点があり、地域を保持するには陸軍が必要になる。また、海上輸送では海軍が絶対に必要であり、その海軍に対抗できるのは事実上海軍だけである。
ようするに、三軍をバランスよく生産し、開発していくことが重要だ。といいつつ、海軍は航空艇と潜水艦があれば、とりあえず十分で、あとは戦車・ハーフトラックと戦闘機・爆撃機でも作ったほうがいい。だが、その航空艇への投資ができているかどうか、が、米軍と大西洋を挟んで戦いを始めるときにものをいうのである。