クレセントノイズ 1〜6

なんでこの漫画をレンタルしたか、というとARIAの続きがEブックオフのレンタル候補になかったからだ。入荷お願いします。でも、ふたを開けてみたら正解だった。那須雪絵の「ダークエイジ」を少年誌で長編漫画にしたような内容だった。

東京都は江東区近辺を舞台にして、高校生の心の闇(七つの悪徳。傲慢。嫉妬。大食。憤怒。貪欲。怠惰。色欲)を糧とする異世界人と高校生異能力者がバトルする漫画なのだが、善良で気弱な高校生たちの心の暗部を切り出していく過程は結構よいものの、正直バトル成分が余計だ。ハッタリは効いてないし、殺陣の割り付けもアクションもよくない。ここから、バトルのないARIAへ進んだのは作者が自分の適した作品を選んだのだと思う。

「いじめ」とか「嫉妬」とか、日常場面では深刻な内容を扱う場面が多く、バトル部分もある漫画なので、あんまり「ARIA」色はないものの5巻のあとがきに作者の飼い猫「ARIA」が登場したり、マスコットキャラのモモンガや、モブキャラのおじいさんや、キャラクターデフォルメ絵、空や風景の描写にその片鱗があるような気もする。

良かったエピソードは、美術部を舞台にした女の子二人の友人関係や、「魚になりたい」女の子の話や、「不在」の花言葉の女の子の話や、天文部の三角関係の話とか。つまり、ほとんど外れがない。ちょっと終わり方があっけなかったりすることもあるけども、個々のエピソードは秀逸。

イマイチなのは、この作者の書く主人公たちが、魅力的な脇役たちに比べて、さほど魅力的でないことだと思った。どのエピソードでも、いつも傍観者。最後のエピソードに至っても、そのまんまだったので、なんだかなあ。

6巻目の後書き「コミックステンシルでAQUAの連載を始めました〜」あー。これだ、これが移籍フラグだー。あーあ。