日本人の英語

日本人の英語 (岩波新書)

日本人の英語 (岩波新書)

よその日記で書評みて、面白そうだったので、探し回ったが、予想外に岩波の新書が置いてある本屋って少ないのな。これだけ新書ブームなんだから、どこにでもあると思ったのに、その辺の小さなブースみたいな書店では最近できたレーベルの新書はいっぱいあるけど、岩波は並んで折らず、結局、紀伊國屋書店まで行って買ってみた。

通勤帰りに40分くらい読んだ。
"a"と"the"の違い、数詞と不可算名詞、"on"と"in"と"off"と"out"の違いについて、ってあたりまで読んだ。英語の文法の背後にある思考法について、日本語で、本質を目指して説明しており、面白い。
例えば、日本人は英文を書くときに名詞に対して冠詞をつけようとするが、米英人の思考としては"a"なのか"the"なのか不可算名詞なのか、という区別が最初にあって、そのあと適当な名詞を持ってくるという発想をするものだ、とか。
例えば、"the United States"や"the Sumida river"には"the"がつき、"Japan"には"the"がつかないのは何故か、というと、『固有名詞にはtheがつく』という理屈ではなくて、それぞれ数えられる名詞である"States"や"river"を語句のなかに含んでいるからだ。
例えば、神が"the beginning"に作ったのは"the heaven"と"the earth"であるのは、話者も聞き手も前提としてそれが「一つしかない固有のモノ」という意識があるからであり、世界観として「始まり」や「天」や「大地」がいくつもあるという世界観だったら"a"になっているハズだ。などなど。

こういうのは理屈で教わる方が丸暗記するより覚えやすいので、願わくば、大学受験とかその辺りで手にしてみたかった。
しかし、翻訳が書いてあるからとはいっても、ちょっと英文を読む時間が混ざるからか、読んでいて疲れる本だ。昔の岩波新書は「通勤帰りのサラリーマンがちょっと読む」感じのモノではなかったのかもしれない。