グリムグリモア 5回目の1日目

というわけで、グリムグリモアも最後の五日間となった。
知らない人向けに説明すると、グリムグリモアはPS2のゲームで、魔法学校の生徒になった女主人公リレ=ブラウが五日間の学園での生活の末に、魔王の復活だの悪魔に襲われるだの、さまざまな原因で悲劇的な最期を遂げる五日間を何度も繰り返すというストーリーのゲームだ。
うん、なんか、どっかで聞いたことがあるなあ、と思わないでもないが、ライアーソフトの『腐り姫』とか北村薫『リターン』、ケン=グリムウッドの『リプレイ』などの、あのパターンである。

この女主人公、リレ=ブラウがとにかく一見可愛い外見をしているわりには、まるで萌えない。なんでだろうなあ、と思ってちょっと考えてみると、この女、とにかく『冷静で理知的』なのだ。別に冷たいキャラクターじゃないんだけど、周回によっては恋に落ちてみたり、親友の死や裏切りにショックを受けてみたりするのだが、全体を通して感情的になる場面がほとんどない。

普通、この手の繰り返される時間を生きるキャラクターは、なんども同じ所で無駄足を踏んでみたり、自分の運命を呪ったり、前に同じ状況で自分に損害を与えた相手に慎重になったりする。

しかし、リレは五日間が繰り返されていることに気づくが早いか、極めて論理的に相談や行動をしていって、それにほとんどムダがない。状況を恐れたり、愚にもつかないことを考えない。ただ他の多数の生徒や教師たちが、いつ、どんな行動をして、それが他のキャラクターにどんな影響を与えるのか、ということを綿密に考えて、周回ごとに得た情報を元にして少しずつ自分の行動を変える、ということをサラッとやってみせる。

前の周回で自分を裏切った相手にも、ちゃんと怯えずに対応して、裏切らないように釘を刺したり手を廻すし、前に自分が惚れた相手でも失敗することが分かっている行動は止めるし、4周目にして「次はきっと助けるからね」みたいなことを言うし。悟りすぎだよ、この子。

何度、前原圭一にイライラし、簸川五樹のしでかす失敗に苦い思いをしたことか。

しかも、こいつ度胸もやたらとあって、先々の運命を変えるためなら、計算して嘘も言うし(リレがつく嘘はほとんどばれない)、悪魔や魔王相手にハッタリもかます。戦いでもドンドン強くなって、三周目くらいから教師たちと互角に戦ってしまえるほどの腕前になるし、使い魔はどつくし、魔女ともちゃんと交渉するし。

なんか、萌えって、相手の欠点に対して感じる感情なのかなあ。ツンデレヤンデレも、天然も腐女子も、なんかそんな感じだよなあ。この子って、女性が好きなタイプの女の子だよねえ。有能で知的でありながら、感情的で共感的でもあって。