小学生じゃしょうがない (河童のクゥと夏休み)

河童のクゥと夏休み 【通常版】 [DVD]

河童のクゥと夏休み 【通常版】 [DVD]

原恵一監督のアニメ「河童のクゥと夏休み」を見る。
某漫画家の訃報を聞いてから、そのうち見ようと思っていたのでした。しかしながら、なんだな。かの人は一時作品にほとんど触れなかった漫画家だったんだなあ。近所の医者の待合室で読んだ記憶ぐらいしかないなあ。『アドルフに告ぐ』とか『火の鳥』『ブラックジャック』は中学生ぐらいのときにはまってずっと読んでいたのに比べると、世代と漫画家本人への接点というのはあまり関係ないんだなあ、と思った。

埼玉(……と思ったら東久留米らしい。電車の行き先が所沢なので、埼玉だと思った)で暮らす一家の小学校高学年の長男が、河童を見つけて家に持って帰る話。
長男と妹、犬と両親という家族構成。
家族の力関係もなにも、非常に「あの一家」的であり、「あの一家」でやってもいい話のような気もする。

とはいえ、話の横側で進んでいくのが、長男と、学校で虐められてる同級生の(文字通り「秒速5センチメートル」的な)一夏の恋だったりするので、確かにこれは「あの一家」じゃできない話かもしれない。犬もアレだし。

この小学生同士の恋愛エピソードが本当に、最初の「ブス!」から始まって徹頭徹尾主人公のひどいリアクションの連続で、こー、それまで良い雰囲気だったのにもかかわらず、泣いてる女の子を置きざりにして慌てて帰っちゃったりして、見ていてやきもきするのだが、確かに「小学生じゃしょうがないなあ」と納得しつつ見入ってしまった。個人的な記憶からすると小学生というのはあんなモンで、これ以上うまく立ち回られたら逆に不自然に感じると思う。

いつも原恵一監督の回想で泣けますが、今回は犬の回想が泣けます。