大河ドラマ入門
- 作者: 小谷野敦
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2010/01/16
- メディア: 新書
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大河ドラマといえば織豊時代であり、大河ドラマといえば『天地人』である。そんなわけで新書を手にして読んでみた。
作者の意見を要約すると、『天地人』は最悪だが、『武蔵』とか『利家とまつ』『義経』『功名が辻』のあたりは暗黒時代だった、『葵』や『武田信玄』が好きで『毛利元就』も楽しめた。『太平記』や『風林火山』は好き、『信長-キングオブジパング』『炎立つ』や『独眼竜政宗』『新選組!』は気に入らない。『篤姫』は完全にフィクション作品だが、フィクションとして面白かったのでアリだと思う。
織豊時代はそろそろ飽きてきたので、もうちょっと違う時代とか、地方にスポットをあててみてほしい。
といったところ。要するに普通の大河ドラマ好きによる、自分の好みの開陳で、これで金が取れるとはなんて恐ろしい新書バブル!と思った。
内容も『篤姫』での篤姫と勝海舟の後半の仲むつまじい様子は、あれは不倫なんじゃないか、的などうでもいい話だし……いやいや。それだけじゃないんだが。
主人公はあくまで歴史上の人物なので、色恋沙汰などには目もくれず、そうした人間的な情愛は架空の登場人物が行うものだった。しかし、近年は歴史上の人物にファミリードラマをさせようとする風潮が強いのではないか。……とか。
大河ドラマは結局、江戸時代の歌舞伎と同じで歴史上の出来事に背景を借りて、現代劇を書いているのではないか、とか。そういう話はちょっと面白かった。