オリバーツイスト

オリバー・ツイスト (トールケース) [DVD]

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世界名作劇場を2時間に濃縮したような映画でした。


孤児の主人公オリバーが救貧院に戻ってきた冒頭から坂道を転がり落ちるように転落していって、ようやく優しい人間に出会って安息の地を得たと思った次のシーンではお約束のようにそこから転落してるのがいいですね。
世界名作劇場だったら、2〜3回くらいは幸せな回が続くんだろうに、なにしろ2時間だから転落するのが早い。


原作小説は未読なんですが、主人公のオリバー少年が、とにかく物事に翻弄されて流されっぱなしなので、見ていて非常にストレスが溜まりました。
彼が主体的に行動したシーンは、10回も無かったような気がします。


オリバー、ひたすら泣いてる印象が残ったんだけど、かわいい少年見たさの観客をメインのターゲットにした映画なんだろーか。
あの年齢で、すでに顎が割れているあたりに西洋人の美少年の現実を見た感じですが。


「孤独だけが友達だった」というCMコピーから、「主人公が友達に出会う」物語を予想してたんですが、ほぼ最後までオリバーは友達も作らず孤独のまま、という展開に裏切られました。
……え? ちがうの? そう見えたんだけどなあ。


前評判の通り、19世紀初頭のロンドンの混沌とした情景は確かに見応えがありました。
小汚い町並みを小汚く書き、「英国の中のふたつの国」があった時代を再現してるのを見るためだけでも、映画代の価値があるような気はします。
つーか、飲んだくればっかりなのがいいな。


あまりに物事が混沌としているので、物語を追いかけるのに結構な注意力が必要でした。
この状況下で何か調べものや人捜しをするためには、確かにシャーロック=ホームズが必要だな、というヘンな納得をしました。