虎よ、虎よ!

川原泉が漫画の中で引用してたのを知ってたんで買ったけど、しばらく本棚で腐らせていたが、ぱっと読んでみて驚いた。
面白い。

というか、無茶苦茶面白いですよ。これ。文庫としては、2年半くらい前の秋に読んだ『イリヤの空、UFOの夏 その4』以来のハイペースで読み進めてます。次々と事件が展開していくので、頁を進めるのが止まらない。基本的に悪趣味だし、偽悪的だし、設定はぶっ飛んでいるし、展開は早いし、その上で主人公も悪役も魅力的だし、女の子たちも個性的だし、すごい好みの作品でした。


二十四世紀。内惑星連合と外惑星連合の間で続いている戦争の中で、半年間宇宙を漂流していた主人公が、ようやく近くに見つかった船に救難信号をあげたら、一度は近寄ってきた船に、なんと置き去りにされ、絶望のあまりその船に対して復讐を誓う。一念発起して大破した船にベクトルを付けてみたら、小惑星に漂流して妙な文明をつくった調査団の末裔に捕まり、顔に虎の模様のような刺青を入れられつつも、押しつけられた交配相手をけ落として、一戸建て兼宇宙船で脱出。地球圏に流れ着いたと思ったらスパイ容疑で捕まって、というか実はこの世界では単独で「ジャンプ」ができる世界観だったりして、郊外に行くと短距離ジャンプを繰り返して強盗を行うギャングたちがのさばる北斗の拳状態だったり、富豪がロンドンやニューヨークで十九世紀の大富豪のような生活をしていると思えば、盲目の美少女は地磁気やレーダー波を見ることができたり、一瞬後には外惑星連合のミサイルでアメリカ大陸が灰燼と帰したり、主人公が苦労の末に結ばれた恋人をあっさり宇宙空間に放置して一人で復讐のために逃げたり、サトラレの女教師は全身からいぢめてオーラを発するMキャラだったり、いや、本当にたまりません。