成恵の世界 1〜4

成恵の世界 (1) (角川コミックス・エース)

成恵の世界 (1) (角川コミックス・エース)

面白い。久々のラブコメ当たり作品。ヒロイン、成恵がいい。主人公が初恋に落ちた変わり者の女の子、成恵は実は(けっこうあらかさまに)宇宙人でした。という、きわめてよくある、むしろ陳腐といっていいような設定なのに、ちゃんと面白い。たぶん、多くの作品で、「宇宙人」というレッテルだけでまとめられ、初回登場以降はぞんざいにされがちなタイプのヒロイン成恵が、こまめに描写されているからだと思う。

他の登場人物も、主人公を含めて、表面をなでるような形でなく、かなりマメに内面にわたって描かれていると思う。だれについても、「こいつはこういうキャラ!」みたいな単純化がされておれず、とっさに、それまでまったく予想していなかった(それでいて納得できる)別の表情をみせるのが良い。3冊目で「プレゼントは何をくれたより、誰がくれたかが大切だから」という成恵に、主人公が「そうか、成恵ちゃんって、そういう子だった」と惚れ直すシーン、あと、まったく本筋と関係なく挿入された、大晦日に宇宙戦艦(の女の子)を轢きそうになったトラックの運ちゃんが、ちゃんと警察を呼ぶ場面、そのあと運ちゃんと宇宙戦艦の間で交わされる会話がすごくよかった。

で、濃度の高い(オバカな)SFなのもいい。年下の姉、宇宙戦艦と地球人で子どもの出来ないカップル、もう二度と会うことのない母。今後が楽しみ。