群雲、関ヶ原へ

群雲、関ヶ原へ〈下〉 (光文社時代小説文庫)

群雲、関ヶ原へ〈下〉 (光文社時代小説文庫)

関ヶ原小説。人物がみな、典型的でありながらも新しい顔を見せるのが面白かった。
臆病なくせに陰謀好きな能吏の石田三成、冷淡なようで慎重で心配性な徳川家康、策に溺れる黒田長政、一本気な貴人宇喜多秀家、人望家の風見鶏前田利家、スマートで二枚目の福島正則、すぐに混乱する加藤清正、羽柴への愛着に道を誤る安国寺恵瓊、万人の敬意を受ける君主上杉景勝と、家臣みなに侮られるも「かわいげ」のある毛利輝元、政治は上手だが戦下手な天下の執政直江山城守と、上杉よりよほど血気盛んな佐竹義宣、不幸で踏んだりけったいな最上義光と、火事場泥棒を狙うも惨敗を繰り返す伊達政宗、暢気な山内一豊に、老師本多正信エトセトラエトセトラ。

家康の「信康が生きていれば、こんな苦労はしないで済んだものを」というヤツがなかった以外は、関ヶ原関連のエピソードはもれなく網羅していた気がする。たいしたものだ。