狐の嫁入り
- 出版社/メーカー: Liar-Soft
- 発売日: 2002/02/08
- メディア: CD-ROM
- クリック: 54回
- この商品を含むブログ (33件) を見る
全部のCGを集めることで、おまけ「狐の嫁入り」が追加されるのですが、青磁エンドの二つ目を見つけられなくてぐるぐると回っていました。
おまけとしては、あんまり面白くないです。
ギャグとしては、「盲点」の方が面白い。
総評
面白かったんだけど、終盤は70年代日本SFです。
私は神林長平か梶尾真治だと思ったんですが、ほかの人の感想を見ると小松左京とか、あげられている人もいました。
樹里編のラストにあたる赤い婚礼のシーンで終わればケチの付け所はないんです。
あそこで、全部の伏線は解決しているし、話自体にもちゃんとオチをつけている。
だから、その後の終盤・蔵女編は蛇足といえば蛇足。
私は日本のSF小説をあんまり読んでないので、こういうことを書くと突っ込みをうけそうですが、ここで明らかにされる超越者としての蔵女はあまりに古典的すぎて、それまでの作中世界観から飛び出してしまっているんですよね。
まあ、この蛇足もエピソードとしてはちゃんとループして最初につながり、「記憶を失う」というシステムとも連動して意味づけされてはいるのですが。
エピソード各論
樹里
本編の頭の痛いメインヒロインが樹里。
最初に思い出した廃坑で振り返ったときの記憶と、周回するにつれてよみがえってくる成長後の怖さのアンバランスさがなんとも、たまりません。
結局、樹里がどこまで陰謀をめぐらして、誰を排除したのか、はっきりしない。朱音と父とクロは確実、芳野と潤は未遂?
蔵女
実はシナリオ全体を振り返ると、樹里の影みたいな存在である蔵女。
周回するにつれ、樹里とシンクロしていくんですが、最初に登場した素の蔵女が一番キャラクター的にはよかったような。それだけに、最後の「なぬっ!」はよかった。
朱音
記憶にある主人公の実の母親。精神を病み、若くして狂い死ぬ。
家族で灯篭流しをした記憶はいつのころのものだろう?
というか、主人公自分の記憶を捏造してねえか。
父
拾われ子。養家でのしうちに耐えかねて、朱音をつれて逐電。
だが結局妻は守れず、娘にいいように操られ、芳野に触れもしなかった駄目駄目な人。
この人が駄目だったために、すべてが始まった。
というか、ようするに主人公が駄目だったんだということで。
主人公
とはいうものの、割とよいひとの主人公。
伊勢にも夏生にも潤にも芳野にも蔵女にも樹里にすらやさしい好青年。
少なくとも、伊勢の記憶にある通りの人物像なら、誰も不幸にならなかったような気がする。
芳野
主人公の義理の母親。父の後妻。盲目の麗人。
結婚したものの、指一本触れられなかった、という設定は強烈。
というか、年いくつなんですか、母さん。潤が実子なのに「30過ぎると」とかいってるから、36〜8歳?
最初、樹里に襲い掛かったものの反撃されて目がつぶれたのかと想像しておびえてたのですが、先天的に目が見えないという設定?
潤
芳野の連れ子。浪人生。
登場人物中、一番平凡なエピソードを持つ、樹里の対極にあるキャラクター。
樹里との恐怖に裏打ちされた「一見仲のよい」関係は恩田陸の小説にでてきそう。
それを思うと、序盤での蔵女に対する激しすぎる反応は正しいんだが、あのときにはプレイヤーには唐突に見えるんだよなあ。ただ、死んだ人間に似た顔ってだけで、あんなに怒ることが。
夏生
主人公の従姉。役場勤務。薄情で自分勝手なひと。
中盤で赤い雪になって崩れ落ちてからも、結構元気に動き回る。
樹里周りの事実関係は無理やりぼかしているから、かなり科白まわしが不自然だけど、夏生さんが青磁を挑発するとこの科白回しも相当不自然だったのが印象的。
というか、いったん脱いだ服を全部着た後でもう一回脱ぐのはどーかと。
青磁
主人公の幼馴染。焼き物家の跡取り……だっけ。度胸がなくて優柔不断。つまり主人公の同類。
珍しく声のある男性。伊勢とは結局どんな関係だったんだろう。
伊勢が消えるまで伊勢と青磁はそういう関係なんだろうと思い込んでました。
伊勢
主人公の自称恋人。大学生。片足に障害あり。主張が空回りする口下手。
あまりに設定がうそっぽいので、主人公の恋人というのは伊勢の作り話で〜という筋書きを想像していたのですが、本当に恋人なことが三周くらいまわったところでわかってびっくり。
そのときには、もう赤い雪になって散ってしまったんですけど。
電車の窓のそとで高層ビルに、赤い雪が降り積もるシーンは好きなシーンのひとつです。唯一、蔵女に勝ったシーンだから。
その他
クロ、リカルド、けーことか?
民話の先生は途中からまったく登場しなかったのはなんだったんだろうなあ。
関連作品
まずは連想したる小説の類。
序盤〜中盤編。
- 作者: 北村薫
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2000/06/28
- メディア: 文庫
- 購入: 20人 クリック: 636回
- この商品を含むブログ (179件) を見る
- 作者: ケン・グリムウッド,杉山高之
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1990/07/27
- メディア: 文庫
- 購入: 35人 クリック: 706回
- この商品を含むブログ (126件) を見る
終盤。
- 作者: 神林長平
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 1990/05/01
- メディア: 文庫
- 購入: 1人 クリック: 40回
- この商品を含むブログ (24件) を見る
ゲームだと。
- 出版社/メーカー: フォグ
- 発売日: 2002/07/18
- メディア: Video Game
- クリック: 31回
- この商品を含むブログ (15件) を見る
- 出版社/メーカー: リーフ
- 発売日: 2003/06/20
- メディア: CD-ROM
- クリック: 65回
- この商品を含むブログ (10件) を見る
猟奇殺人事件と、最後のSFオチまで類似点は多い。
同社のゲームやと。
- 出版社/メーカー: Liar-Soft
- 発売日: 2004/02/13
- メディア: CD-ROM
- クリック: 102回
- この商品を含むブログ (36件) を見る
アリス=蔵女、伽子=樹里とか。夏生と九月の喋り方も割りと似ている気がする。