DQⅡ前夜

サマルトリア王家の断絶

ベラヌール教会が世界全土に対する支配力を増していた頃、
サマルトリア王家では一つの出来事が起きた。
ローラ姫の次子の家系が断絶してしまったのだ。


王家は、家臣が禅譲によって受け継いだが、
ロト王家の血筋は途絶えてしまった。
ロトの血筋ではなかったため、ロトの装備品を扱うことは、
当時のサマルトリア王家の人間には許されなかった。


もちろん、「ロト王家」の一角であることを現すため、
最近では、サマルトリア王家がロトの剣を装備して戦った、
という説が唱えられているが、これは史実に反する創作である。


このため、ローレシアサマルトリアの間には、
実際には微妙な温度差があり、伝説に伝えられているような、
一心同体な関係ではなかった。

ムーンペタ半島の情勢


定説には反するが、歴史的には、ムーンペタの街が先にあり、
ムーンブルクの城といのは存在しなかった。


ムーンペタは、アレフガルドメルキドリムルダール系の住人たちが、
入植して作った街で、後の戦争が始まる時期までは、商人たちの合議で、
運営されていた。


彼らは、アレフガルド本土のメルキドリムルダールムーンペタ
その中間にある大灯台を中心に、ローレシア大陸との交易を行っており、
もともとラダトームのラルフ王家には批判的な勢力だったこともあって、
ローレシア王国がアレフガルドから独立したときには積極的に支援をした。


ローレシアの独立後には、彼らもローレシアに続いて独立運動をすべきだ、
という主張を行うようになっていた。


これに危機感を強めたのが、ラルフ王家と、国際通商で覇権を握っていた
ルプガナ商人たちである。
これにベラヌールの教会勢力が結びついて、三者ブロック経済圏の
確立を共通項として同盟を結び、その矛先をムーンペタへ向けた。
これを便宜上三国協商と呼ぶ。


ムーンペタは三国の圧迫を受けたことで、より一層ローレシアに近づき、
ローレシアサマルトリアムーンペタが協力関係を結ぶようになった。
こちらを便宜上三国同盟と呼ぶ。


三国同盟の締結にますます危機感を持った協商側は、
ついに武力行使に打って出た。
ルプガナ海軍が大灯台を、アレフガルドの陸軍がメルキドと、
リムルダールを攻撃したのである。
どちらの攻撃も成功裏に終わり、ムーンペタは商業圏を大きく失った。
三国協商側は、この時点で戦争は終結したと考えた。


だが、ムーンペタ側の受けた被害は大きく、
とくにアレフガルド軍はメルキドリムルダールを徹底的に破壊したため、
ムーンペタに強烈な復讐心を持たせてしまった。
ムーンペタローレシアに救援を求めた。


こうして、世界初の世界戦争が始まった。