月の裏側

月の裏側 (幻冬舎文庫)

月の裏側 (幻冬舎文庫)

まだ途中なので記憶に残った部分をメモ。


男たつは真実を知っているが、真理を知っているのは女だけだ。
男たちは、いつも真理を求めて右往左往する。


解説より。
恩田陸の小説では、思い出、郷愁といったものが重要なテーマとなっている。
それらに共通することは、それが真実ではなく、個人的な体験であるということだ。
恩田陸本格ミステリを書くことに消極的なのは、作中で探偵が唯一の真実をあばくことに違和感を感じているからではないだろうか。


記憶に頼って引用しているので、間違いがあったら申し訳ない。
だがこの本を読んでいて昨日「ネバーランド」に感じた違和感はこの辺にあるのかもしれないと思った。
ネバーランド」は男子高校生四人が、それぞれ自分の抱えている問題について、いつも隠している真実を語る。それはそれぞれ、非常に合理的であり、話を聞いていて納得できる。


しかし、彼らがそれぞれ語る恐怖はどれも非常に合理的なために、最初に闇の中から伸びてきた緑色の指先や、あいたままの扉が怖いという話が持っていた、より漠然とした恐怖、鳥肌が立つような恐怖は掻き消えてしまう。
彼ら男子高校生が語るのは、どれも、単に衝撃的な話や、「ひどい話」というカテゴリに押し込まれてしまう。


津村小夜子の持っていた恐怖はそうしたものではなく、言葉にできないための恐怖だった。
よーな気がする。


森には真理が落ちている。